お知らせ[研究]_365体育官网 /whatsnew/news_kenkyu daily 1 2018/03/15 15:50:00 GMT+9 肺がん細胞の“助け合い”が治療効果を減弱させる新メカニズム ―細胞間ネットワークによる防御と、その弱点を突く併用療法の可能性―_365体育官网 /whatsnew/seimei/20250718 <![CDATA[<p>【ポイント】</p>&#13; <ul>&#13; <li>肺がん細胞において、YAP/TAZ活性の異なる細胞同士が“助け合う”ことで、細胞死「フェロトーシス」に対する集団的な抵抗性を獲得することを明らかにした。</li>&#13; <li>患者由来の検体とマウスモデルの解析から、GCH1という酵素が抗酸化物質BH4を産生?分泌し、がん細胞間で共有されることで、細胞死を回避する仕組みを示した。</li>&#13; <li>がん細胞同士の協調によって生じる治療抵抗性という新たな概念を提唱し、がんの多様性に応じた次世代型治療戦略の構築に向けて重要な知見を提供した。</li>&#13; </ul>&#13; <p>【概要説明】</p>&#13; <p>東京科学大学(Science Tokyo) 総合研究院 難治疾患研究所 細胞動態学分野の諸石寿朗教授、および熊本大学 分子薬理学講座の李浩研究員(研究当時、現?関西学院大学助教)らの研究チームは、肺がんにおけるがん細胞の多様性が治療抵抗性に関与する仕組みを、患者検体の解析およびマウスモデルを用いた実験によって解明しました。<br/>研究チームは、がん細胞の増殖や転移に関わる分子であるYAPおよびTAZ(用語1)の活性に着目し、腫瘍内においてこれらの活性が異なる細胞群が共存する場合、患者の予後が悪化することを明らかにしました。さらに、YAP/TAZ活性が低い細胞は、鉄依存的細胞死であるフェロトーシス(用語2)に強い耐性を示すだけでなく、抗酸化物質BH4(テトラヒドロビオプテリン、用語3)を産生?分泌することによって、隣接するがん細胞も保護していることが判明しました。この防御機構の鍵となる酵素がGCH1(GTPシクロヒドロラーゼ1、用語4)であり、GCH1を阻害する薬剤とフェロトーシス誘導剤との併用によって、肺がんの治療効果が動物モデルにおいて大きく高まることを確認しました。<br/>これらの成果は、がん細胞間の“助け合い”によって生じる治療抵抗性という新たな概念を提示するとともに、フェロトーシスを標的とした新たながん治療戦略の開発に道を拓くものです。<br/>本成果は、熊本大学 微生物学講座、免疫ゲノム構造学講座、細胞病理学講座、呼吸器外科講座との共同研究によって得られ、7月6日(現地時間)付で「EMBO reports」誌に掲載されました。</p>&#13; <p>●付記<br/>本研究成果は日本医療研究開発機構、日本学術振興会、科学技術振興機構、小林がん研究振興財団、高松宮妃癌研究基金、金原一郎記念医学医療振興財団、日本がん研究振興財団、加藤記念バイオサイエンス振興財団の支援を受けて実施したものです。</p>&#13; <p><br/>【用語説明】<br/>(1) YAP(Yes-associated protein)およびTAZ(transcriptional coactivator with PDZ-binding motif):細胞内のシグナル伝達を担うタンパク質群で、細胞の増殖?分化?細胞死の制御に関与する。がん細胞の悪性化や治療抵抗性に深く関わる重要因子である。<br/>(2) フェロトーシス:細胞内の鉄イオンが過剰に反応し、脂質膜の酸化によって引き起こされる、新しいタイプの細胞死。がん治療の新たな標的として注目されている。<br/>(3) BH4(テトラヒドロビオプテリン):強力な抗酸化作用を持つ生体内物質。細胞内の活性酸素種を抑制し、特に脂質の過酸化を防ぐことで細胞を保護する働きがある。<br/>(4) GCH1(GTPシクロヒドロラーゼ1):BH4の合成において中心的な役割を担う酵素。抗酸化物質であるBH4の生産を促進し、細胞を酸化ストレスから守る。</p>&#13; <p>【参考文献】<br/>[1] DOI: 10.1038/s41568-023-00591-5<br/>[2] DOI: 10.1038/nrc3876<br/>[3] DOI: 10.2174/138920111798357393</p>&#13; <p>【論文情報】<br/>掲載誌:EMBO reports<br/>論文タイトル:Hippo pathway controls biopterin metabolism to shield adjacent cells from ferroptosis in lung cancer<br/>著者:Hao Li, Yohei Kanamori, Akihiro Nita, Ayato Maeda, Tianli Zhang, Kenta Kikuchi, Hiroyuki Yamada, Touya Toyomoto, Mohamed Fathi Saleh, Mayumi Niimura, Hironori Hinokuma, Mayuko Shimoda, Koei Ikeda, Makoto Suzuki, Yoshihiro Komohara, Daisuke Kurotaki, Tomohiro Sawa, Toshiro Moroishi<br/>DOI:10.1038/s44319-025-00515-4</p>&#13; <p><span>?</span></p>&#13; <p/>&#13; <p><strong/>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250718-2.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF902KB)</p>&#13; <div>※詳細及び画像も掲載しております。</div>&#13; <div/>&#13; <div> </div>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <p/>&#13; <address>&#13; <p><strong> お問い合わせ</strong></p>&#13; <p>熊本大学総務課広報戦略室</p>&#13; <p>電 話 : 096-342-3269</p>&#13; <p>e-mail: sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/07/18 11:25:00 GMT+9 ページ ハサミムシにだって“好み”がある! ? 花資源の利用様式を解明 ?_365体育官网 /whatsnew/sizen/release20250718-3 <![CDATA[<p><strong>(ポイント)</strong></p>&#13; <ul>&#13; <li>北海道の礼文島で同所的にみられるキバネハサミムシとコブハサミムシの訪花目的、利用する植物分類群(科)や訪花個体の発育段階(若虫<sup>*</sup>?成虫)の違いについて調査しました。</li>&#13; <li>両種とも、花粉摂食を主目的にしてさまざまな植物分類群(計15科36種)の花、特にキク科とセリ科をよく利用するという実態を明示しました。</li>&#13; <li>採餌源植物の利用状況には種?発育段階による違いがみられ、キバネハサミムシの成虫とコブハサミムシの成虫?若虫はキク科を、キバネハサミムシの若虫はセリ科を強く選好していました。その理由として、キバネハサミムシ若虫が先天的にセリ科の花を好む可能性に言及しました。</li>&#13; </ul>&#13; <p/>&#13; <p><strong>(概要説明)</strong></p>&#13; <p>熊本大学大学院先端科学研究部?准教授の杉浦直人と北九州市立自然史?歴史博物館?学芸員の竹下文雄は、ハナバチやチョウなどと同じく、花を訪れるハサミムシ類にも採餌源植物に対する選好性があることを明らかにしました。この知見は“訪花昆虫としてのハサミムシ”の生態の一端を初めて詳細に明らかにするものです。本研究の成果は令和7年<span>7</span>月<span>2</span>日に日本昆虫学会誌のEntomological Scienceにオンライン掲載されました。</p>&#13; <p/>&#13; <p>[今後の展開]</p>&#13; <p>少なくとも礼文島では、キバネもコブも主に花粉摂食を目的としてさまざまな分類群の花、特にキク科とセリ科を利用するといえます。これら2つの分類群がよく利用されたのは、「どちらの科でも花上で花粉が露出しており、訪れさえすれば簡単に摂食できるから」と「礼文島では、夏から秋の時期にかけてキク科とセリ科に属する複数の種が大量に開花するから」という2つの事情に因ると考えられます。今後、訪花性ハサミムシ類の生存や成長?繁殖にとって花粉の摂取がどれくらい重要な意味をもつのか、飼育実験等も駆使して解明していく必要があると思います。</p>&#13; <p> どうしてキバネではセリ科からキク科へと個体発生的な食物ニッチの移行が起きるのか、今回の調査結果からは説得力のある解釈(理由)を提示することができませんでした。ただ、「利用しようと思えば、キバネ若虫もキク科が利用可能だったこと」と「若虫の口器の形状に顕著な違いが認められないこと(杉浦, 個人的観察)」を考えあわせると、その理由を「①キバネ若虫は先天的にセリ科での採餌を好む可能性」や「②キバネとコブの若虫間に花資源をめぐる種間競争が生じ、キバネが排斥されている可能性」に求めるべきなのかもしれません。ただ、このうちの②については、礼文島では花資源をめぐる種間競争が生じるほど訪花個体数は多くなく、その可能性は低いと思われます。今後さらに「セリ科の花が利用できない環境下では、キバネ若虫がどんな花を利用しているのか?」「コブ若虫がいない環境下でもキバネ若虫はセリ科の花を選好するのか?」「礼文島以外の地域でも、コブはセリ科の花を利用しないのか?」といった各種の疑問に答えが提示できるよう、引き続き調査していくことが必要です。今回の私たちの報告がこれまで見過ごされてきた訪花性ハサミムシに目を向けるきっかけとなれば幸いです。</p>&#13; <p/>&#13; <p>[用語説明]</p>&#13; <p>*若虫=バッタやカメムシといった不完全変態する昆虫における幼虫のこと。ニンフ(nymph)ともいう。</p>&#13; <p/>&#13; <p><strong>(論文情報)</strong></p>&#13; <p>論文名:Notes on floral resource utilization in two sympatric earwig species (Dermaptera: Forficulidae)</p>&#13; <p>著 者: Naoto Sugiura and Fumio Takeshita</p>&#13; <p>掲載誌: Entomological Science</p>&#13; <p>doi: 10.1111/ens.12600</p>&#13; <p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250718-3.pdf">プレスリリース</a>(PDF584KB)</p>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>????  <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_15_ja_2.png/@@images/69826231-83a5-403b-bc72-0ee8456ad4e2.png" title="sdg_icon_15_ja_2.png" width="133" alt="sdg_icon_15_ja_2.png" height="127" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3271<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/07/18 09:00:00 GMT+9 ページ 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーモデルマウスの病態改善に成功~鉄代謝とフェロトーシス経路を標的にした新たな治療戦略~_365体育官网 /whatsnew/seimei-sentankenkyu/20250718-1 <![CDATA[<p>【ポイント】</p>&#13; <ul>&#13; <li>顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD) *1 の原因遺伝子DUX4*2 による細胞毒性に、骨格筋内への異常な鉄蓄積とそれに伴う鉄依存性細胞死フェロトーシス経路*3 の活性化が関与することを見出しました。</li>&#13; <li>予想外に、FSHD マウスへの鉄投与は、骨格筋の異常鉄蓄積とフェロトーシス経路の活性化を抑制し、病態を劇的に改善しました。</li>&#13; <li>FSHD マウスにフェロトーシス阻害剤フェロスタチン-1( Fer-1)を投与すると顕著な病態改善効果が認められました。</li>&#13; <li>本成果から、鉄代謝*4 やフェロトーシス経路を標的にしたFSHD の新たな治療法開発が期待できます。</li>&#13; </ul>&#13; <ul/>&#13; <ul>【概要説明】</ul>&#13; <p>FSHDは、遺伝性かつ進行性の筋疾患で、現在根本的治療法はありません。FSHDでは、DUX4という細胞毒性をもつ転写因子が骨格筋に誤発現します。DUX4の誤発現はFSHDの発症要因になると考えられていますが、DUX4がどのように細胞毒性を発揮し骨格筋に障害を与えるのか、そのメカニズムについてはあまりわかっていません。<br/>今回、熊本大学発生医学研究所筋発生再生分野の中村晃大研究員、小野悠介教授らの研究チームは、DUX4 が誘発する細胞毒性に微量元素である鉄の代謝異常が関連することを見出し、FSHD の新規治療標的になり得ることを報告しました。<br/>本研究では、FSHD 患者およびFSHD モデル(DUX4-Tg)マウスの骨格筋において鉄が異常蓄積していることを観察しました。そこで体内の鉄を減らすと病態が改善すると予想し、検証しました。DUX4-Tg マウスに、鉄キレート剤の投与、低用量鉄含有食の摂餌、あるいは遺伝子改変から細胞内鉄取り込みを阻害したところ、予想に反し、筋力低下等のFSHD 病態は改善されず、むしろ悪化させました。一方、意外にも、高用量鉄含有食の摂餌または鉄製剤を静脈投与すると、DUX4-Tg マウスの筋内異常鉄蓄積、握力、走力、自発的運動量等は著しく改善されました。さらに、骨格筋に発現したDUX4 は、鉄依存性細胞死であるフェロトーシス経路を活性化させることを見出しました。フェロトーシス関連化合物ライブラリーを用いたハイスループットスクリーニング*5 を実施したところ、フェロトーシス阻害剤フェロスタチン-1( Fer-1)を同定しました。DUX4-Tg マウスにFer-1 を投与すると握力や走力に顕著な改善効果が認められました。<br/>以上の結果から、DUX4 が誘発する細胞毒性に鉄代謝異常をともなうフェロトーシス経路の活性化が関連することが明らかになりました。今後、さらなるメカニズムを解明し、有効かつ安全なFSHD 治療法の開発を推進します。<br/>本研究成果は,米国の医学雑誌「Journal of Clinical Investigation」への掲載に先立ち、令和7 年7 月1 日(米国東部標準時午後12 時)にIn-Press Preview版としてオンライン公開されました。<br/>なお、本研究は熊本大学発生医学研究所細胞医学分野の日野信次朗准教授、東京科学大学難治疾患研究所の諸石寿朗教授、東京科学大学高等研究府の中山敬一特別栄誉教授、国立精神?神経医療研究センター神経研究所の斎藤良彦リサーチフェロー、西野一三部長との共同研究で行ったものです。</p>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p>[用語解説]</p>&#13; <p>*1.FSHD:指定難病である筋ジストロフィーのひとつ。筋ジストロフィーの中では比較的患者数が多いと推定されている。<br/>*2.DUX4:細胞毒性を持つ転写因子でFSHD の原因遺伝子。通常、胚発生や生殖細胞に発現するが、骨格筋には発現しない。<br/>*3.フェロトーシス:鉄依存性の新たな細胞死の概念。過酸化脂質の蓄積を伴う。がん、神経変性疾患、心疾患など、さまざまな疾患との関連注目されている。<br/>*4.鉄代謝:細胞機能に必須の鉄は過剰になると細胞を障害するため、細胞内鉄濃度は厳密に制御される。鉄不足の状態では、トランスフェリン受容体(TFR)発現が増加し、細胞内鉄取り込みを促進する。細胞内のリソソーム、ミトコンドリア、フェリチンは細胞内鉄の貯蔵や利用を制御する。<br/>*5.ハイスループットスクリーニング:短時間で多数の化合物の効果を評価し、候補物質を効率的に特定する手法のひとつ。創薬、バイオマーカー探索に活用される。</p>&#13; <p style="text-align: justify;">[特記事項]<br/>本研究は、日本医療研究開発機構( 難治性疾患実用化研究事業?微小環境異常に着目した顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの疾患発症メカニズムの解明と新規治療基盤の確立(JP25ek0109823))、創発的研究支援事業、日本学術振興会科学研究費助成事業、武田科学振興財団、アステラス製薬代謝疾患研究会の支援を受けて実施されました。?</p>&#13; <p style="text-align: justify;">[参考文献]<br/>中村晃大、小野悠介.「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの基礎研究の現状」.難病と在宅ケア.25 巻.10-14 項.2019 年</p>&#13; <p style="text-align: justify;"><br/>【論文情報】</p>&#13; <p>論文名:Iron supplementation alleviates pathologies in a mouse model offacioscapulohumeral muscular dystrophy<br/>著者:Kodai Nakamura1, Huascar Pedro Ortuste Quiroga1, Naoki Horii1, ShinFujimaki1, Toshiro Moroishi2,3,4, Keiichi I Nakayama5,6, Shinjiro Hino7,Yoshihiko Saito8, Ichizo Nishino8, Yusuke Ono1,3,9*</p>&#13; <p><br/>所属:<br/>1)熊本大学発生医学研究所 筋発生再生分野<br/>2)熊本大学生命科学研究部 分子薬理学講座<br/>3)熊本大学健康長寿代謝制御研究センター<br/>4)東京科学大学難治疾患研究所 細胞動体学分野<br/>5)東京科学大学高等研究府 制がんストラテジー研究室<br/>6)九州大学生体防御医学研究所 分子医学分野<br/>7)熊本大学発生医学研究所 細胞医学分野<br/>8)国立精神?神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第一部<br/>9)東京都健康長寿医療センター研究所 筋老化制御研究室<br/>*責任著者</p>&#13; <p><br/>掲載誌:Journal of Clinical Investigation<br/>DOI: doi: 10.1172/JCI181881.<br/>URL: https://www.jci.org/articles/view/181881</p>&#13; <p/>&#13; <p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250718-1.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF567KB)</p>&#13; <p/>&#13; <p>?</p>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" width="142" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" height="134" class="image-inline"/>??</p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address>&#13; <p><strong> お問い合わせ</strong></p>&#13; <p>熊本大学発生医学研究所<br/>担当:教授 小野 悠介<br/>電話:096-373-6601<br/>e-mail:ono-y<span>※</span>kumamoto-u.ac.jp<br/> (※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/07/18 09:00:00 GMT+9 ページ がんに関わる酵素の反応過程を捉えた! ?酵素反応の仕組みをX線と中性子を用いて観察?_365体育官网 /whatsnew/seimei/20250715 <![CDATA[<p>【ポイント】</p>&#13; <ul>&#13; <li>がんに関わるヒトの酵素 (MTH1) の基質?阻害剤結合部位の全原子構造をX線と中性子を用いて高精度で決定しました。</li>&#13; <li><span style="text-indent: -0.6em;">MTH1の酵素反応過程を時系列に観察することにより、従来の研究手法では長年議論にとどまっていた反応機構を初めて実証? ?しました。</span></li>&#13; <li>MTH1の高精度構造に基づいた既存の阻害剤の改良や新規阻害剤の設計などが可能になり、新たな抗がん剤の創出につながる? ?ことが期待されます。</li>&#13; </ul>&#13; <p>【概要説明】</p>&#13; <p>国立大学法人熊本大学大学院生命科学研究部 (薬学系) の中村照也准教授、同研究室卒業生の平田啓介さん、藤宮佳菜さん、博士前期課程2 年の後藤大空さんの研究グループは、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所の玉田太郎プロジェクトディレクター、一般財団法人総合科学研究機構 中性子産業利用推進センターの日下勝弘グループリーダー、ドイツ ミュンヘン工科大学のAndreas Ostermann 主任研究員らのグループと共同で、X 線と中性子を用いて、がんに関わるヒトの酵素 (MTH1) の高精度の全原子構造を決定し、MTH1 の酵素反応過程を時系列に観察しました。その結果、MTH1 と基質a)?阻害剤との結合には、これまで観察の困難であったプロトン (水素原子) が重要な役割を果たしていることを実験的に実証し、従来の研究手法では長年議論にとどまっていたMTH1 の酵素反応機構も明らかにしました。MTH1 はがんに関わる酵素であるため、本研究は、MTH1 の高精度構造を基にした新しい抗がん剤の創出につながることが期待されます。</p>&#13; <p>本研究成果は、令和7 年7 月14 日の週に米国の科学誌 Proceedings of theNational Academy of Sciences of the United States of America (PNAS) にオンラインで発表されます。本研究は、科学研究費助成事業 (24K01966, 18K06600)、独立行政法人日本学術振興会卓越研究員事業、新学術領域研究事業(15H01050)、公益財団法人鈴木謙三記念医科学応用研究財団、持田記念医学薬学振興財団、篷庵社、国立研究開発法人日本医療研究開発機構創薬等先端技術支援基盤プラットフォームAMED/BINDS(JP22ama121001) の支援を受けて実施されました。中性子回折実験は、大強度陽子加速器施設 (J-PARC) の物質?生命科学実験施設 (MLF) に設置された茨城県中性子ビームライン(iBIX) の県プロジェクト研究において、また、ミュンヘン工科大学の研究用原子炉 (FRM II) において実施し、X線回折実験は高エネルギー加速器研究機構のPhoton Factoryと大型放射光施設SPring-8にて実施しました。</p>&#13; <p><br/>[用語解説]<br/>a) 基質<br/>酵素が作用して化学反応を受ける物質のこと。MTH1 の基質は8-oxo-dGTPや2-oxo-dATP である。</p>&#13; <p><span>[引用文献]<br/>1) H. Gad, et al., MTH1 inhibition eradicates cancer by preventing sanitation of thedNTP pool. Nature 508, 215–221 (2014).<br/>2) K. V. M. Huber, et al., Stereospecific targeting of MTH1 by (S)-crizotinib as ananticancer strategy. Nature 508, 222–227 (2014).<br/>3) S. Waz, et al., Structural and kinetic studies of the human nudix hydrolase MTH1reveal the mechanism for its broad substrate specificity. Journal of BiologicalChemistry 292, 2785–2794 (2017).<br/>4) T. Nakamura, et al., X-ray structure analysis of human oxidized nucleotidehydrolase MTH1 using crystals obtained under microgravity. Int. J. MicrogravitySci. Appl. 36, 360103 (2019).<br/>5) T. Nakamura, et al., Protonation states of Asp residues in the human Nudixhydrolase MTH1 contribute to its broad substrate recognition. FEBS Lett 597,1770–1778 (2023).<br/>6) T. Nakamura, Y. Zhao, Y. Yamagata, Y. Hua, W. Yang, Watching DNApolymerase η make a phosphodiester bond. Nature 487, 196–201 (2012).<br/>7) T. Nakamura and Y. Yamagata, Visualization of mutagenic nucleotide processingby Escherichia coli MutT, a Nudix hydrolase. Proc Natl Acad Sci U S A 119,e2203118119 (2022).</span></p>&#13; <p><span>【論?情報】<br/></span></p>&#13; <p>論文名: Neutron and time-resolved X-ray crystallography reveal the substraterecognition and catalytic mechanism of human Nudix hydrolase MTH1<br/>著者: Keisuke Hirata# (# 共第一著者), Kana Fujimiya#, Andreas Ostermann,Tobias E. Schrader, Takeshi Hiromoto, Masataka Goto, Takao Arimori, Yu Hirano,Katsuhiro Kusaka, Taro Tamada, and Teruya Nakamura (責任著者)<br/>掲載誌:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States ofAmerica: PNAS<br/>doi: 10.1073/pnas.2510085122<br/>URL: https://doi.org/10.1073/pnas.2510085122</p>&#13; <p><span>?</span></p>&#13; <p/>&#13; <p><strong/>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250715-2.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF825KB)</p>&#13; <div>※詳細及び画像も掲載しております。</div>&#13; <div/>&#13; <div> </div>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <p/>&#13; <address>&#13; <p><strong> お問い合わせ</strong></p>&#13; <p>熊本大学大学院生命科学研究部 (薬学系)</p>&#13; <p>担当: 准教授 中村 照也</p>&#13; <p>電 話 : 096-371-4638</p>&#13; <p>e-mail: tnaka@gpo.kumamoto-u.ac.jp</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/07/15 10:30:00 GMT+9 ページ AIで“遺伝子の時間”を読み解く -蛍光タイマーTocky技術を活用-_365体育官网 /whatsnew/seimei-sentankenkyu/20250704-1 <![CDATA[<p>【ポイント】</p>&#13; <ul>&#13; <li>独自技術Tocky<sup>*1</sup>と深層学習AIを融合し、細胞内での遺伝子の“時間的な働き”を初めて高精度に可視化</li>&#13; <li>CRISPR<sup>*2</sup>を用いてTockyマウスに遺伝子調節配列の変異を導入し、その影響をAIで自動解析</li>&#13; <li>加齢や配列変化が免疫遺伝子の時間的制御に影響することを発見し、免疫研究や治療開発に向けた新たな解析基盤を提供</li>&#13; </ul>&#13; <ul/>&#13; <ul>【概要説明】</ul>&#13; <p>ヒトレトロウイルス学共同研究センター?熊本大学キャンパスの小野昌弘特任教授らは、これまで独自に開発した蛍光タイマー技術「Tocky」に、CRISPRと深層学習(AI)を組み合わせることで、細胞内の遺伝子活性の“時間的な変化”を可視化する新たな手法を確立しました。</p>&#13; <p>Tockyは、遺伝子が発現された時間情報を蛍光の色変化として記録できる技術で、細胞ごとの転写履歴を生体内で可視化することが可能です。</p>&#13; <p>今回の手法では、CRISPRで遺伝子調節配列に変異を導入したTockyマウスから得たデータを深層学習で解析し、免疫関連遺伝子の時間的制御に配列や加齢が与える影響を明らかにしました。</p>&#13; <p>本研究は、AIと実験技術を統合することで、遺伝子制御の“時間軸”を解読する新たな基盤技術を提示するものです。</p>&#13; <p>本研究成果は令和<span>7</span>年<span>7</span>月<span>1</span>日に『Nature Communications』に掲載されました。</p>&#13; <p>また、本研究は科研費(<span><a href="https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21K07082/">基盤C</a></span>,<span> <a href="https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PUBLICLY-21H00433/21H004332022jisseki/">新学術領域研究シンギュラリティ生物学</a></span>)、学術振興会研究拠点形成事業、<span>AMED</span>、先端モデル動物支援プラットフォーム<span>(AdAMS) </span>、英国医学研究評議会(<span>MRC</span>)、英国<span>Cancer Research UK</span>の助成を受けて行われました。</p>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p>[用語解説]</p>&#13; <ul>&#13; <li>Tocky(トキ):細胞の中で、ある遺伝子が「いつ」働き始めたかを、蛍光の色の変化で見えるようにする技術。名称は「時(とき)」に由来し、正式には「<span>Timer-of-cell-kinetics-and-activity</span>」と呼ばれる。</li>&#13; <li>CRISPR(クリスパー):狙った<span>DNA</span>の場所を正確に書き換えることができるゲノム編集技術。生物の遺伝情報を操作するために広く使われている。</li>&#13; <li>転写活性(てんしゃかっせい):<span>DNA</span>の情報が<span>RNA</span>にコピーされる働きの強さのこと。遺伝子がどのくらい活発に働いているかを示す指標で、免疫や細胞の変化に関わっている。</li>&#13; </ul>&#13; <p><span>?</span></p>&#13; <p><strong>(論文情報)</strong></p>&#13; <p>論文名:<span>Machine Learning-Assisted Decoding of Temporal Transcriptional Dynamics via Fluorescent Timer</span></p>&#13; <p>著者:<span>Nobuko Irie, Naoki Takeda, Yorifumi Satou, Kimi Araki, Masahiro Ono</span></p>&#13; <p>掲載誌:<span>Nature Communications</span></p>&#13; <p>doi:<a href="https://doi.org/10.1038/s41467-025-61279-y"><span>https://doi.org/10.1038/s41467-025-61279-y</span>?</a></p>&#13; <p>URL:<span><a href="https://www.nature.com/articles/s41467-025-61279-y">https://www.nature.com/articles/s41467-025-61279-y</a></span></p>&#13; <p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release250704-1.pdf">プレスリリース</a>(PDF277KB)</p>&#13; <p/>&#13; <p>?</p>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" width="142" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" height="134" class="image-inline"/>??</p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address>&#13; <p><strong> お問い合わせ</strong></p>&#13; <p>熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター?熊本大学キャンパス</p>&#13; <p>?担当:特任教授 小野昌弘</p>&#13; <p>e-mail:<span>m.ono@imperial.ac.uk</span></p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/07/04 09:00:00 GMT+9 ページ 複数のAIでチーム医療を再現することに成功‐「医師の働き方改革」に向けた共同研究を継続します‐_365体育官网 /whatsnew/byouin/qsol <![CDATA[<p>Qsol株式会社(福岡県福岡市、代表取締役社長 廣渡 健)と国立大学法人熊本大学(熊本県熊本市、学長 小川 久雄)は、医療分野での生成AI活用に関する共同研究を2024 年9 月から行ってきました。この度、複数のAIで“チーム医療”を再現すること<br/>に成功し、今後も共同研究を継続することを決定しました。AIによるチーム医療を実現し、医師の働き方改革を目指してまいります。</p>&#13; <p>ο共同研究の概要<br/>国内の医療現場では、医師の長時間労働が依然として深刻であり、地域や診療科による医師の偏在も課題となっています。本共同研究では、医療ガイドラインや電子カルテの情報を基にした診療方針の立案や医療文書の作成など、医療業務を補助する分野での生成AIの活用可能性を検証し、医療の質を担保することを目指しています。</p>&#13; <p>ο共同研究の成果<br/>2024 年度の研究では、医師や薬剤師などの役割を持つAIエージェントが、それぞれの見解を持ち寄り診療方針を立案する“チーム医療”の象徴であるカンファレンス(医師や薬剤師などが診療方針や治療計画を相談する会議)を、マルチAIエージェント上に再現することに成功しました(参考を参照)。これにより医療業務の効率化や医療の質向上の効果が期待できます。</p>&#13; <p>ο今後の展望<br/>更なる医療業務の効率化を図り、医療の質を向上させていくために、類似症例等の参照情報の拡充や、AIが自律的に情報検索を行う「AgenticRAG(エージェンティックラグ)」技術を導入し、より多角的な視点から医療業務をサポートする仕組みの構築を目指します。また、様々な医療業務への適用を拡大していきます。</p>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p/>]]> No publisher 研究 2025/06/30 10:25:00 GMT+9 ページ 白血病ウイルスHTLV-1の新たな発がんプロセスを解明 -がん化の鍵となるメカニズムを発見-_365体育官网 /whatsnew/seimei/20250624 <![CDATA[<p>【ポイント】</p>&#13; <ul>&#13; <li>本邦に感染者の多いヒト<span>T</span>細胞白血病ウイルス<span>1</span>型<span>(HTLV-1)</span>は、非常に予後が悪い白血病(成人<span>T</span>細胞白血病:<span>ATL</span>)を引き起こしますが、<span>HTLV-1</span>の発がん機構は充分にわかっていません。</li>&#13; <li>HTLV-1に感染した細胞と白血病化したがん細胞を比較し、<u>“がん細胞<span>”</span>に特徴的で重要なシグナル経路と標的分子を新たに発見</u>しました。</li>&#13; <li>治療選択肢が限られている白血病に対する<u>新たな治療法の開発に繋がる</u>重要な知見です。</li>&#13; </ul>&#13; <p/>&#13; <p>【概要説明】</p>&#13; <p>熊本大学大学院生命科学研究部 血液?膠原病?感染症内科学講座のWenyi Zhang大学院生、七條敬文助教、安永純一朗教授らの研究グループは、これまでヒト<span>T</span>細胞白血病ウイルス<span>1</span>型<span>(HTLV-1)</span><sup>※<span>1</span></sup>の発がん機構について研究を進めてきました。<span>HTLV-1</span>は“血液のがん<span>”</span>である成人<span>T</span>細胞白血病<span>(ATL)</span><sup>※<span>2</span></sup>を引き起こします。<span>ATL</span>は非常に予後不良な疾患ですが、治療選択肢が限られており、新しい治療法の開発が喫緊の課題です。</p>&#13; <p>本研究グループでは、<span>HTLV-1</span>による発がん機構や新規治療標的として、ウイルス遺伝子<em><span>HBZ</span></em><sup>※<span>3</span></sup>に着目し研究をしています。昨年度、<span>HBZ</span>が活性化する<span>TGF-</span>β<span>/Smad</span>経路<sup>※<span>4</span></sup>が<span>HTLV-1</span>の発がん機構として重要であると報告しました<span>(<em>PNAS</em>,2024)</span>。しかし、<span>HBZ</span>は<span>HTLV-1</span>感染細胞から<span>ATL</span>細胞まで一貫して発現しますが、<span>HTLV-1</span>感染者の一部の方だけが<span>ATL</span>を発症します。<span>HTLV-1</span>感染細胞と<span>ATL</span>細胞の間での<span>HBZ</span>の機能の違いについては明らかとなっておりませんでした。</p>&#13; <p>今回、<span>ATL</span>細胞に特徴的ながん化の鍵となるメカニズムの解明を目的に研究を進めた結果、<span>HBZ</span>タンパク質は、<span>HTLV-1</span>感染細胞と異なり<span>ATL</span>細胞では核の中に多く存在することがわかりました<span>(</span>図<span>1)</span>。さらに、<span>ATL</span>細胞では、<span>HBZ</span>は<span>TGF-</span>β<span>/Smad</span>経路の活性化により細胞質から核へ移動しましたが、<span>HTLV-1</span>感染細胞では移動しませんでした。<span>ATL</span>細胞では<span>HBZ</span>タンパク質が核内に存在すること(核局在)が発がんに重要であると考えられました。</p>&#13; <p>HBZの核局在の責任分子として、細胞タンパク質である<span>AP-1</span>ファミリー<sup>※<span>5</span></sup>の<span>JunB</span>を同定し、さらに<span>TGF-</span>β<span>/Smad</span>経路の下流で作用し<span>ATL</span>細胞の生存に重要な働きを有することが明らかとなりました。また、マウスを用いた実験で、<em><span>JunB</span></em>遺伝子を発現低下させた<span>ATL</span>細胞では、<span>ATL</span>の腫瘍増殖が抑制されたことから、<span>ATL</span>腫瘍形成や増殖における<span>JunB</span>の重要性を証明しました。</p>&#13; <p>本研究により、<span>HTLV-1</span>の発がんメカニズムをウイルス学的知見から解明しただけでなく、<span>ATL</span>に対する新しい治療薬の開発に繋がることが期待できます。</p>&#13; <p>本研究成果は令和<span>7</span>年6月<span>24</span>日に米国科学アカデミーが発刊する『米国科学アカデミー紀要(<em><span>Proceedings of the National Academy of Science</span>:<span>PNAS</span></em><span>)</span>』に掲載されました。</p>&#13; <p> また、本研究は国立研究開発法人日本医療研究開発機構 新興?再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「<span>HTLV-1</span>関連疾患の高精度予測法の確立と<span>ATL</span>細胞リプログラミングによる樹状細胞療法の開発」、同先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業「デリバリーと安全性を融合した新世代核酸医薬プラットフォームの構築」、同次世代がん医療創生研究事業<span>(P-CREATE)</span>「免疫抑制性受容体<span>TIGIT</span>阻害活性を有する小分子化合物の開発研究」、独立行政法人日本学術振興会、公益財団法人<span>SGH</span>財団から研究資金の助成を受けて行われました。</p>&#13; <p><strong/></p>&#13; <p/>&#13; <p><br/>【?語説明】</p>&#13; <p>※<span>1 </span>ヒト<span> T </span>細胞白血病ウイルス<span> 1 </span>型<span>(HTLV-1):                                      </span>ヒトに疾患を引き起こす病原性レトロウイルス。主に<span>CD4</span>陽性<span>T</span>細胞リンパ球に感染し、そのウイルス遺伝子が感染者の<span>DNA</span>内に組み込まれる。約<span>5%</span>の感染者が生涯の内に成人<span>T </span>細胞白血病<span>/</span>リンパ腫<span>(ATL)</span>を発症する。</p>&#13; <p>?※<span>2 </span>成人<span>T</span>細胞白血病<span>/</span>リンパ腫<span>(ATL):                                       </span>HTLV-1に感染した<span>CD4</span>陽性<span>T</span>リンパ球ががん化して発症する血液のがん。難治性の疾患であり、血液がんの中でも予後不良である。</p>&#13; <p>?※<span>3 HBZ</span>(<span>HTLV-1 bZIP factor</span>):                                         HTLV-1がコードするウイルス遺伝子で、感染者の<span>DNA</span>内に組み込まれた後、<span>RNA</span>とタンパク質双方の分子形態で機能する発がん作用を有しており、<span>ATL</span>細胞に恒常的に発現している。</p>&#13; <p>?※<span>4 </span>TGF-β<span>/Smad</span>経路:                                                   細胞増殖抑制、アポトーシス、細胞分化、血管新生など多様な作用を持つ。一般的に、初期がんではがん増殖を抑えることて?がんの進展を阻害することが知られている。一方、悪性化したがんでは、細胞増殖抑制への感受性喪失と上皮間葉転換亢進による転移能を獲得し、がんの悪性化に寄与するとされている。</p>&#13; <p>?※<span>5</span> AP-1ファミリー:                                                  ウイルス感染?サイトカイン?ストレスなど様々な刺激に応答して遺伝子発現を制御し、細胞の分化?増殖?アポトーシスなどを制御する転写因子。</p>&#13; <p>?※<span>6</span> 近接ライゲーションアッセイ法:                                                       これまで検出困難であった内在性タンパク質やタンパク質間相互作用を高い特異性と感度で検出できる手法。</p>&#13; <p>?※7網羅的遺伝子発現解析:                                                            次世代シークエンス技術を利用することで、ゲノム全体での遺伝子発現を一度に測定できる解析手法。</p>&#13; <p>?※<span>8 </span>クロマチン免疫沈降シーケンシング:                                               次世代シークエンス技術を利用することで、転写因子やその他のタンパク質のゲノム全体での<span>DNA</span>結合部位を同定できる手法。</p>&#13; <p><span/></p>&#13; <p><span>【論?情報】<br/></span></p>&#13; <p>論文名:<span>JunB-HBZ nuclear translocation by TGF-β is a key driver in HTLV-1-mediated leukemogenesis</span></p>&#13; <p>著者:<span>Wenyi Zhang , Takafumi Shichijo , Xueda Chen , Miho Watanabe , Kisato Nosaka , Masao Matsuoka , Jun-ichirou Yasunaga</span></p>&#13; <p>掲載誌:<em><span>Proc Natl Acad Sci USA</span></em></p>&#13; <p>doi:<span>10.1073/pnas.2420756122</span></p>&#13; <p>URL:<a href="https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2420756122">https://doi.org/10.1073/pnas.2420756122</a></p>&#13; <p><span>?</span></p>&#13; <p/>&#13; <p><strong/>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250624.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF1,117KB)</p>&#13; <div>※画像も掲載しております。</div>&#13; <div/>&#13; <div> </div>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <p/>&#13; <address>&#13; <p><strong> お問い合わせ</strong></p>&#13; <p>熊本大学大学院生命科学研究部 血液?膠原病?感染症内科学講座</p>&#13; <p>担当:教授 安永純一朗/ 助教 七條敬文</p>&#13; <p>電 話 : 096-373-5156</p>&#13; <p>e-mail: <a href="mailto:jyasunagATkumamoto-u.ac.jp">jyasunagATkumamoto-u.ac.jp</a> / <span><a href="mailto:tshichijo@kumamoto-u.ac.jp">tshichijoATkumamoto-u.ac.jp</a></span></p>&#13; <p>ATを<span>@</span>へ変換</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/06/24 09:35:00 GMT+9 ページ 多能性幹細胞から尿管組織を作ることに成功~移植可能な腎臓オルガノイドへの応用に期待~_365体育官网 /whatsnew/seimei-sentankenkyu/20250623 <![CDATA[<p>【ポイント】</p>&#13; <ul>&#13; <li>多能性幹細胞<sup>*1</sup>から尿管間質の前駆細胞への誘導法を確立した。</li>&#13; <li>誘導した尿管間質の前駆細胞を尿管上皮の前駆細胞と組み合わせることで尿管オルガノイド<sup>*2</sup>の作成に成功した。</li>&#13; <li>作成した尿管オルガノイドは尿管疾患の病態解明や移植可能な腎臓オルガノイド作成への応用が期待される。</li>&#13; </ul>&#13; <ul/>&#13; <ul>【概要説明】</ul>&#13; <p>尿管*3は腎臓で生成された尿の出口を構成し、腎臓が機能を果たすために必須の臓器です。尿管は上皮とそれを取り囲む間質で構成されており、これらの前駆細胞が相互作用を繰り返し発生します。この2つの構成組織のうち尿管上皮の前駆細胞(尿管芽)を多能性幹細胞(マウスES細胞<sup>*4</sup>やヒトiPS細胞<sup>*5</sup> )から人為的に誘導する方法は熊本大学発生医学研究所の西中村隆一教授の研究グループをはじめ複数報告されていましたが、尿管間質の前駆細胞を誘導する方法は世界的に見ても確立されていませんでした。今回同グループの大学院生伊比裕太郎さんらは、この尿管間質の前駆細胞を多能性幹細胞から誘導する方法を開発しました。さらに誘導した尿管間質前駆細胞を、マウス胎仔由来の尿管上皮や多能性幹細胞から誘導した尿管芽と組み合わせることで、人工的に尿管組織 (尿管オルガノイド) を再構成することに成功しました。<br/>本研究は、尿管という腎臓からの尿排泄に必須となる構造を試験管内で多能性幹細胞から構築することに成功した初めての報告です。この技術を腎臓オルガノイドと組み合わせれば、尿が作られて出ていくという臓器本来の機能を持った移植用の腎臓を作るという次世代の再生医療に向け大きな前進となります。また、尿管疾患の病態解明と創薬開発に繋がることも期待されます。<br/>本研究成果は、科学雑誌「Nature Communications」のオンライン版に6月20日 午前10時(イギリス時間)【日本時間の6月20日 午後6時】に掲載されます。<br/>※本研究は、文部科学省科学研究費補助金(基盤研究( S ) 、国際先導研究「腎臓を創る」)、JST創発的研究支援事業(JPMJFR2266)の支援を受けました。</p>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p>[用語解説]</p>&#13; <p>*1 多能性幹細胞:様々な体細胞に分化し得る万能細胞。</p>&#13; <p>*2 オルガノイド:試験管内で作られる、臓器のミニチュア版。</p>&#13; <p>*3 尿管:腎臓で産生される尿を体外に排泄するために必要な構造。管状の構造をしており、内側に位置する上皮とそれを取り囲む間質で構成される。</p>&#13; <p>*4 ES 細胞:受精卵から作られた多能性幹細胞。胚性幹細胞。</p>&#13; <p style="text-align: justify;">*5 iPS 細胞:皮膚や血液などの体細胞から作られた多能性幹細胞。<br/>?<br/>【論文情報】</p>&#13; <p style="text-align: justify;">?論文名:In vitro generation of a ureteral organoid from pluripotent stem cells<br/>?著者: Yutaro Ibi, Koichiro Miike, Tomoko Ohmori, Chen-Leng Cai, ShunsukeTanigawa, Ryuichi Nishinakamura<br/>?掲載誌:Nature Communications<br/>?doi:10.1038/s41467-025-60693-6<br/>?URL:<a href="https://www.nature.com/ncomms/">http://www.nature.com/ncomms</a></p>&#13; <p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release250623.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF420KB)</p>&#13; <p/>&#13; <p>?</p>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" width="142" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" height="134" class="image-inline"/>??</p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address>&#13; <p><strong> お問い合わせ</strong></p>&#13; <p>熊本大学発生医学研究所<br/>担当:教授 西中村 隆一<br/>電話:096-373-6615<br/>e-mail:ryuichi<span>※</span>kumamoto-u.ac.jp<br/> (※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/06/23 09:10:00 GMT+9 ページ 植物の枝のかたちづくりの仕組みの一端を解明 ?植物の4 次元表現型解析でミオシンXI の新たな機能に迫る?_365体育官网 /whatsnew/sizen/20250612 <![CDATA[<p><strong>(ポイント)</strong></p>&#13; <ul>&#13; <li>植物の枝が上向きかつ安定した方向に伸びる仕組みに、ミオシンXIという細胞内のモータータンパク質が関与することを明らかにしました。</li>&#13; <li>植物の立体構造の時間変化を計測する「4次元表現型解析」により、正常な植物とミオシンXIのはたらきを欠いた変異体の側枝の形態を定量的に比較しました。</li>&#13; <li>本研究により、植物の枝の形づくりにおけるミオシンXIの新たな役割と、枝の成長方向を制御する仕組みの一端が明らかになりました。</li>&#13; </ul>&#13; <p style="text-align: justify;"><span/>【概要説明】 </p>&#13; <p>熊本大学大学院自然科学研究部博士前期課程2年(当時)の吉田大一大学院生、甲南大学理工学部の上田晴子教授、琉球大学工学部の國田樹准教授、熊本大学半導体?デジタル研究教育機構の戸田真志教授、同大学院先端科学研究部の檜垣匠教授からなる研究グループは、植物の枝の形がどのように作られ、維持されるのかを調べるため、独自の解析技術である植物の立体構造の時間変化を調べる「4次元表現型解析」を行いました。</p>&#13; <p>本研究では、モデル植物であるシロイヌナズナを用い、細胞内で物質を運ぶミオシンXIというタンパク質に注目しました。遺伝子変異によってミオシンXIのはたらきを失わせた植物では、枝が垂れ下がったり、枝が伸びる方向が不安定になったりすることがわかりました。特に、MYOSIN XIkが枝の上向きの成長に関与すること、MYOSIN XIfとXIkが枝の向きを安定化させる役割を担っていることなどが示されました。</p>&#13; <p>これらの成果は、植物が光や重力などの外部刺激に応答しながら、効率よく枝を伸ばしていく仕組みを理解する上で重要な知見となるとともに、今後の作物の形態制御技術や育種への応用にもつながることが期待されます。</p>&#13; <p>本研究成果は令和7年6月10日、科学雑誌「Quantitative Plant Biology」(ケンブリッジ大学出版)に掲載されました。本研究は日本学術振興会科研費、JST CREST、甲南学園平生太郎基金科学研究奨励助成金の支援を受けて実施されました。</p>&#13; <p>【今後の展開】</p>&#13; <p>本研究グループの独自技術である植物の4次元表現型解析は、植物のかたちの変化を精密に捉える新たな手法であり、ミオシンXIに限らず、他の因子の作用機構の解明にも応用可能です。また、枝の伸び方や成長方向を制御する技術の開発にもつながる可能性があり、農業や園芸分野における実用展開も期待されます。</p>&#13; <p/>&#13; <p><strong>(論文情報)</strong></p>&#13; <p>論文名:Four-dimensional phenotyping reveals MYOSIN XI-dependent establishment of branch morphology through upward- and stably-directed growth in Arabidopsis</p>&#13; <p>著者:Daichi Yoshida, Itsuki Kunita, Masashi Toda, Haruko Ueda, and Takumi Higaki*(責任著者)</p>&#13; <p>掲載誌:Quantitative Plant Biology</p>&#13; <p>DOI:10.1017/qpb.2025.10007</p>&#13; <p>URL:<a href="https://doi.org/10.1017/qpb.2025.10007">https://doi.org/10.1017/qpb.2025.10007</a></p>&#13; <p>詳細:<a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release250612.pdf">プレスリリース</a></p>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>????  <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_02_ja_2.png/@@images/8032ba3d-a877-4a15-b6fd-60f50cbdf9de.png" title="sdg_icon_02_ja_2.png" width="133" alt="sdg_icon_02_ja_2.png" height="127" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3271<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/06/12 14:00:00 GMT+9 ページ 生殖細胞形成とゲノム防御をつなぐ 新たな仕組みを解明_365体育官网 /whatsnew/seimei-sentankenkyu/20250610 <![CDATA[<p>【ポイント】</p>&#13; <ul>&#13; <li>ショウジョウバエでの生殖質形成を促進する新規母性因子Tppが、トランスポゾン抑制に関与するpiRNAの産生に関わる因子であることが明らかになりました。</li>&#13; <li>Tppを欠いた卵巣では、piRNA産生量が減少し、その結果PIWIタンパク質の1つであるAubergineタンパク質の生殖質への局在が不全となり、次世代の生殖細胞形成が阻害されることが明らかになりました。</li>&#13; <li>piRNAがトランスポゾン抑制に必要な量よりも過剰に産生されることにより、次世代の生殖細胞においてトランスポゾンによるゲノム損傷を防ぎ、世代を超えて遺伝情報の正確性を保証するメカニズムが存在することが明らかにされました。</li>&#13; </ul>&#13; <ul/>&#13; <p><img src="/whatsnew/seimei-sentankenkyu/release250610.jpg/@@images/b3cf1f83-0003-4ed4-8004-c7dd2b761ddc.jpeg" title="release250610.jpg" alt="release250610.jpg" class="image-inline"/></p>&#13; <ul>【概要説明】</ul>&#13; <p> 生殖細胞は、次世代に遺伝情報を伝えることができる唯一の細胞です。したがって、生殖細胞のゲノム情報を守ることは、生物にとって極めて重要な使命といえます。特に、トランスポゾン(注1)と呼ばれる動く遺伝子の活性化は、遺伝情報の破壊につながる恐れがあるため、生殖細胞にはこれを抑制するpiRNA(PIWI-interacting RNA)と呼ばれる小分子 RNAが備わっています。piRNAは、PIWIタンパク質と複合体を形成し、トランスポゾンの発現を抑制する働きを担っています。ショウジョウバエにおいて、このpiRNAの配列情報は母から子へと受け継がれ、世代を超えて生殖細胞のゲノム情報を守る仕組みとして機能します。</p>&#13; <p>? 熊本大学発生医学研究所の中村輝教授、東京大学定量生命科学研究所の泊幸秀教授、喜納寛野助教(研究当時:熊本大学大学院薬学教育部博士課程)らの研究チームは、ショウジョウバエを用いた研究から、生殖細胞の形成とpiRNAの生合成を制御する新規因子Tpp(Tiny pole plasm)を同定しました。TppはAubergineタンパク質(Aub)を介して、piRNAの合成と次世代への伝承、そして生殖細胞の形成を密接に結びつける役割を担います。</p>&#13; <p> 本研究では、Tppを欠損した卵巣において、Aubが卵母細胞の後極に効率的に局在できず、生殖細胞形成に必要な生殖質(注2)が正しく形成されないことが明らかになりました。また、Tppが卵巣におけるpiRNAの生合成を促進し、PIWIファミリータンパク質のひとつであるAubへのpiRNAの結合を助ける役割を担うことが明らかになりました。予想に反して、Tpp を欠損させた卵巣では <span>Aub</span>と結合したpiRNAの量が減少しているにもかかわらず、トランスポゾンの発現はほぼ正常に抑制されていました。この結果は、通常の卵巣ではpiRNAが必要量を上回って存在する可能性を示唆しています。このような過剰なpiRNAは、次世代への情報伝達や生殖細胞形成において重要な役割を果たしていると考えられます。</p>&#13; <p> 本成果は、piRNA経路がゲノム防御に加えて生殖細胞形成を支える新たなメカニズムを提案します。今後、他の動物種における普遍的な仕組みとしての解明が期待されます。</p>&#13; <p/>&#13; <p>【背景】</p>&#13; <p> 生殖細胞は、卵や精子といった配偶子を生み出し、遺伝情報を次世代へと伝える役割を担っています。そのため、生殖細胞ゲノムの配列情報を守ることは、種の存続にとって非常に重要です。このゲノムの安定性を脅かす要因のひとつがトランスポゾン(動く遺伝子)です。トランスポゾンは、活性化するとゲノム上のさまざまな場所へと挿入され、遺伝情報の破壊をもたらします。こうした脅威に対抗するため、生殖細胞にはpiRNAと呼ばれる小分子RNAによる防御機構が備わっています。piRNAは、過去に侵入したトランスポゾンの配列に対応する情報を持ち、PIWIファミリータンパク質と複合体を形成することで、標的となるトランスポゾンmRNAを認識?切断し、その発現を抑制します。</p>&#13; <p> ショウジョウバエでは、nuageと呼ばれる非膜性のオルガネラが、piRNA生合成の場として知られています。nuageでは、PIWIファミリータンパク質であるAubとAgo3(Argonaute3)がトランスポゾン由来のRNAなどを切断することにより、トランスポゾンの発現を抑制します。さらに、AubとAgo3は切断されたRNA断片を互いに受け渡し、それを元にしてpiRNAを生成することで、piRNAの増幅も行います。このようなpiRNA増幅経路のことをピンポン経路(注3)と呼びます。</p>&#13; <p>? 一方、Aubは卵母細胞の後極の生殖質にも局在し、生殖質タンパク質として生殖細胞の形成に寄与します。生殖質は、母性由来のタンパク質やRNAから構成され、胚発生の過程で生殖質を取り込んだ細胞が将来の生殖細胞となります。興味深いことに、AubはpiRNAと結合した状態で生殖質に局在し、次世代の生殖細胞へと受け継がれ、この母性由来のpiRNAは、子の世代におけるpiRNA生合成のテンプレートとして用いられると考えられています。</p>&#13; <p>? このように、Aubは卵巣内におけるトランスポゾンの抑制のみならず、生殖細胞の形成やpiRNA情報の継承を通じて種の維持に貢献しています。また、Aub以外の主要な生殖質タンパク質もnuageに局在しています。以上のことから、nuageにおけるpiRNAの生合成と生殖質の形成には協調的な関係があると予想されますが、両者の関係は不明でした。</p>&#13; <p/>&#13; <p>【研究の内容】</p>&#13; <p> 本研究では、ショウジョウバエを用いて、CRISPR-Cas9システムによる機能未知遺伝子のノックアウトスクリーニングを行い、生殖細胞数の減少を引き起こす新規の母性因子として<em>tpp</em>を同定しました。<em>tpp</em>を欠いたメスが産んだ胚では、生殖細胞の数が著しく減少していました。</p>&#13; <p>? 解析により、<em>tpp</em>変異卵巣では、生殖質タンパク質であるAubの卵母細胞後極(生殖質領域)への局在が特異的に減少することにより、生殖細胞の形成が阻害されることが明らかになりました。Aubは、卵巣において生殖質とnuageの両方に局在します。一方、Tppは生殖質には局在せず、nuageにおいてのみAubと共局在していました。これにより、TppがnuageにおいてAubと相互作用し、piRNAの生合成に関与している可能性が示唆されました。</p>&#13; <p> 実際、<em>tpp</em>変異卵巣においてはAubと結合するpiRNA量が大きく減少していました。そこで、Aubの生殖質への局在がpiRNAとの結合に依存するかを検証するため、piRNAとの結合能が低下する変異を導入した変異型Aubを持つハエ個体を作製しその局在を観察しました。その結果、piRNAと結合しにくい変異型Aubの生殖質領域への局在は著しく減少していることが明らかになりました。以上の結果から、piRNAを持たない「空のAub」は、生殖質に局在しにくい可能性が示唆されました。したがって、<em>tpp</em>変異卵巣では、piRNAを持たない空のAubが増加することにより、Aubの生殖質への局在が低下すると考えられます。</p>&#13; <p> 興味深いことに、<em>tpp</em>変異体においてpiRNA量が大きく低下しているにもかかわらず、卵巣内ではトランスポゾンの発現がほぼ正常に抑制されていました。これは、通常状態において、piRNAがトランスポゾンの抑制に必要な量を超えて豊富に存在していることを意味します。AubがpiRNAと結合した状態で生殖質に局在し、そこから次世代の生殖細胞へと受け継がれることを踏まえると、過剰なpiRNAは、トランスポゾン情報を網羅的に蓄積した記憶媒体として、それを子の世代へと伝える役割を担っている可能性があります。すなわち、生殖質の機能や次世代のゲノム防御を保証するという観点から、piRNAが必要な量を超えて産生されること自体が、生殖細胞形成と種の存続において重要な意味を持つ可能性があります。</p>&#13; <p/>&#13; <p>【展開】</p>&#13; <p> 本研究の成果は、piRNAの生合成と生殖細胞形成が密接に連携していることを示す新たな手がかりを提供します。Tppを介したこの協調的な制御機構の発見により、piRNA経路がトランスポゾン抑制にとどまらず、生殖細胞の形成そのものを促進する役割を持つことが明らかになりました。これにより、ゲノム情報を適切に保護できる個体が生殖細胞を形成し、次世代を紡いでいくという、種の存続に関わる新たな視点が提案されます。さらに、このようなシステムは他の動物種にも普遍的に存在する可能性があり、piRNAと生殖細胞の関係における今後の研究の発展が期待されます。</p>&#13; <p/>&#13; <p>[用語解説]</p>&#13; <p>(注1)トランスポゾン:ゲノム上を移動できる遺伝子。活性化されると、ゲノム内の無作為な位置に挿入され、既存の遺伝情報 を損なうリスクがある。</p>&#13; <p>?(注2)生殖質:ショウジョウバエを含む多くの動物種では、卵の中の生殖質と呼ばれる特殊な細胞質領域が存在し、これを取り込んだ細胞が将来の生殖細胞となる。</p>&#13; <p>?(注3)ピンポン経路:piRNA生合成経路のひとつで、ショウジョウバエにおいてはPIWIファミリータンパク質であるAubとAgo3が協調して機能する。AubとAgo3はそれぞれpiRNAと結合し、相補的な配列を持つトランスポゾンRNAを認識?切断することでその発現を抑制する。さらに、切断したRNA断片を別のPIWIタンパク質へと受け渡すことで、新たなpiRNAが生成され、この反応が繰り返されることでpiRNAが増幅される。 </p>&#13; <p style="text-align: justify;">?<br/>【論文情報】</p>&#13; <ul>&#13; <li>論文名:Abundant piRNA production mediated by the <em>Drosophila</em> GTSF1 homolog Tpp ensures Aubergine localization and germ plasm assembly</li>&#13; <li>著 者:Hirono Kina, Natsuko Izumi, Kazuko Hanyu-Nakamura, Takashi Yoshitani, Mariko Yamane, Hitoshi Niwa, Yukihide Tomari, and Akira Nakamura</li>&#13; <li>掲載誌:PNAS</li>&#13; <li>DOI?? :<a href="http://10.1073/pnas.2419375122">10.1073/pnas.2419375122</a></li>&#13; <li>URL?? :<a href="https://doi.org/10.1073/pnas.2419375122">https://doi.org/10.1016/j.cub.2025.01.056</a></li>&#13; </ul>&#13; <p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release250610.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF650KB)</p>&#13; <p/>&#13; <p>?</p>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" width="142" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" height="134" class="image-inline"/>??</p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address>&#13; <p><strong> お問い合わせ</strong></p>&#13; <p>熊本大学発生医学研究所<br/>担当:教授 中村 輝<br/>電話:096-373-6569/6557<br/>e-mail:akiran<span>※</span>kumamoto-u.ac.jp<br/> (※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/06/10 10:00:00 GMT+9 ページ 粘土鉱物から生まれた!中低温領域で機能するプロトン伝導性ナノシート積層型固体電解質 ?次世代中低温燃料電池の固体電解質に新たな可能性?_365体育官网 /whatsnew/sizen/20250603 <![CDATA[<p style="text-align: justify;"><span>【ポイント】</span></p>&#13; <ul>&#13; <li>天然の粘土鉱物からナノシート<sup>*1</sup>を抽出し、精密な積層プロセスにより柔軟かつ成形性に優れた無機ナノシート積層膜の作製に成功しました。</li>&#13; <li>得られた積層膜は、相対湿度100%下において3×10<sup>-3</sup>?S/cm @10 ℃、6.2×10<sup>-3</sup>?S/cm @100 ℃、8.7×10<sup>-3</sup>?S/cm@140 ℃のプロトン伝導性<sup>*2</sup>を示しました。</li>&#13; <li>同膜はプロトン伝導性に加え、H<sub>2</sub>ガスに対して高分子固体電解質よりも高いバリア性を示し、電解質膜として要求されるガス分離性と化学的安定性を両立していました。</li>&#13; <li>同膜を固体電解質<sup>*3</sup>として適用した燃料電池では、90 ℃(相対湿度100%)において最大260?mW/cm<sup>2</sup>程度の出力を達成し、-10~140 ℃の広い温度範囲での作動も確認されました。</li>&#13; </ul>&#13; <p/>&#13; <p style="text-align: justify;">【概要説明】</p>&#13; <p style="text-align: justify;"> 熊本大学産業ナノマテリアル研究所の畠山一翔助教と伊田進太郎教授らの研究グループは、天然の粘土鉱物からナノシートを抽出し、精密に積層させることで燃料電池用の新規固体電解質の開発に成功しました。無機材料を固体電解質とした燃料電池は家庭用電源として実用化まで至っています。しかし、未だに作動温度は800 ℃以上と高く、市販されている車体などへの搭載は80~90 ℃で定常動作する高分子固体電解質を使用した燃料電池が主流となっています。次世代燃料電池搭載車両では100 ℃以上での作動も求められています。一方で高分子固体電解質は、中温動作時の水素クロスオーバー(水素が漏れ出て発電効率が低下する現象)が同程度の膜厚のセラミックス電解質と比べて大きいことやフッ素使用による環境負荷の指摘もあり、これらを一度に解決できる新規材料探索が次世代燃料電池の課題でもあります。今回、粘土鉱物から抽出した無機ナノシートを積層させた新たな無機固体電解質膜の開発に成功しました。開発した膜は、中低温領域(氷点下~150 ℃以下)でプロトン伝導性と水素バリア性、化学的安定性を高いレベルで両立していることがわかりました。この膜を固体電解質とした燃料電池は、-10~140 ℃の広い温度範囲で作動し、90 ℃(相対湿度100%)において最大264?mW/cm<sup>2</sup>の出力密度を達成しました。</p>&#13; <p> 本研究成果は令和7年5月16日に英国王立化学会が発行する科学雑誌「Journal of Materials Chemistry A」にオンライン掲載されました。</p>&#13; <p> なお、本研究は防衛装備庁安全保障技術研究推進制度、科学技術振興機構先端国際共同研究推進事業(ASPIRE)、日本学術振興会科学研究費助成事業(研究課題/領域番号:23H00314)の援助を受けて行われました。</p>&#13; <p/>&#13; <p>【<span color="#000000" style="color: #000000;">今後の展開</span>】</p>&#13; <p> 今回開発した固体電解質は優れた特性を持つことに加え、天然粘土鉱物由来の材料であり、低環境負荷かつ経済的にもすぐれた材料となりえます。そのため、開発した膜を用いた燃料電池開発を進めていくことで、持続可能な人類の発展に大きく貢献できます。</p>&#13; <p/>&#13; <p>【用語説明】</p>&#13; <p>*1ナノシート</p>&#13; <p>原子スケール(1 nm程度)の厚さを持つ2次元物質のこと。3次元の材料では得られないユニークな物性を示す。例として2010年にノーベル賞を受賞したグラフェンが有名である。</p>&#13; <p>*2プロトン伝導性</p>&#13; <p>プロトン(水素イオン、H<sup>+</sup>)を伝導させる性質のこと。高いプロトン伝導性を持つ物質をプロトン伝導体という。</p>&#13; <p>*3固体電解質</p>&#13; <p>イオンを伝導する性質を持つ固体のこと。通常の固体は原子やイオンが固定されており動くことができないが、固体電解質の場合は電圧印加によりイオンを伝導させることができる。燃料電池の固体電解質ではプロトンまたは酸化物イオン(O<sup>2-</sup>)が伝導する。</p>&#13; <p><br/>【論文情報】</p>&#13; <p/>&#13; <p>論文名:Low-temperature fuel cells using proton-conducting silicate solid electrolyte</p>&#13; <p>著者:Kazuto Hatakeyama,* Tatsuki Tsugawa, Haruki Watanabe, Kanako Oka, Sho Kinoshita, Keisuke Awaya, Michio Koinuma, and Shintaro Ida*?</p>&#13; <p>掲載誌:Journal of Materials Chemistry A</p>&#13; <p>doi:doi.org/10.1039/D5TA02486B</p>&#13; <p>URL:<a href="https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2025/ta/d5ta02486b">https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2025/ta/d5ta02486b</a></p>&#13; <p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250603.pdf">プレスリリース</a>(PDF505KB)</p>&#13; <p><br/><br/></p>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>????  <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_07_ja_2.png/@@images/aaab6e72-31b0-4f6e-aeb0-281c879eca6e.png" title="sdg_icon_07_ja_2.png" width="133" alt="sdg_icon_07_ja_2.png" height="127" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3271<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/06/03 09:00:00 GMT+9 ページ 「鉄」が肝臓を壊す? 新たな細胞死「フェロトーシス」の正体 ―?術後の肝機能回復を左右する「鉄」と「100 の遺伝?」 診断と治療の鍵に―_365体育官网 /whatsnew/seimei/20250530 <![CDATA[<p>【ポイント】</p>&#13; <ul>&#13; <li>鉄によって引き起こされる細胞死「フェロトーシス」が、肝疾患の進?や?術後の肝機能回復に関与することを解明した。</li>&#13; <li>フェロトーシスの発?時に肝臓で特異的に変化する100 個の遺伝?群「iFerroptosis」を新たに定義し、疾患の分?マーカーと    して抽出した。</li>&#13; <li>?術前の?清鉄濃度が術後の肝傷害の程度を予測できる可能性を?し、バイオマーカーとしての有?性が期待される。</li>&#13; </ul>&#13; <p/>&#13; <p>【概要説明】</p>&#13; <p> 東京科学?学(Science Tokyo) 総合研究院 難治疾患研究所の諸?寿朗教授、熊本?学 大学院生命科学研究部消化器外科学講座の松本嵩史医員(研究当時、現パリ?サクレー?学 研究員)らの研究チームは、肝臓に過剰に蓄積した鉄が細胞死を誘導し、肝疾患の進?や?術後の回復遅延につながる仕組みを、動物実験および患者データの解析によって解明しました。<br/> 本研究では、細胞の鉄調節に重要な役割を果たす遺伝?FBXL5(?語1)を?損させたマウスを?い[参考?献1]、鉄の過剰蓄積とフェロトーシス(?語2)との関連を明らかにしました。さらに、フェロトーシスの誘導時に肝臓で活性化される100 個の<br/>遺伝?群を「iFerroptosis(?語3)」として特定し、これを肝疾患の評価指標として活?する可能性を提?しました。<br/> これらの成果は、フェロトーシスが肝疾患において果たす役割を再定義するとともに、術後予後の予測や新たな治療戦略(フェロトーシス抑制薬の開発など)への道を拓くものです。<br/> 本成果は、東京科学?学 制がんストラテジー研究室、熊本?学 <span>大学院生命科学研究部</span>消化器外科講座、熊本?学<span>大学院生命科学研究部</span>消化器内科講座、京都?学 がん免疫総合研究センターとの共同研究によって?われ、5 ?29 ?付で「Hepatology Communications」誌に掲載されました。</p>&#13; <p><strong/></p>&#13; <p><strong>(説明)</strong></p>&#13; <p>●背景<br/> 鉄は健康を保つために?かせないミネラルで、成?の体内にはおよそ鉄釘1 本分(約3?5 グラム)の鉄が存在しています。鉄は、?液中で酸素を運ぶ役割に加えて、エネルギーの産?や細胞の働きにも関与しています。鉄が不?すると貧?を引き起こしますが、逆に過剰になると体に有害な活性酸素を?み出し、がんや神経の病気の原因になることがあります。このため、体内では鉄の量が厳密にコントロールされています。<br/> 特に肝臓は、体内の鉄を貯蔵する中?的な臓器であり、鉄代謝の異常が肝機能に与える影響は?きいと考えられています。これまで、過剰な鉄が細胞に毒性をもたらすメカニズムは明確ではありませんでしたが、近年、細胞内の鉄過剰による脂質の過酸化が誘導する新しい細胞死の概念としてフェロトーシスが発?され[参考?献2]、鉄毒性の分?機構が徐々に明らかになってきました。<br/> これまでの研究では、フェロトーシスが肝炎や肝臓の線維化、肝臓がんなど、さまざまな肝疾患の発症や進展に関与する可能性が?唆されていましたが、肝臓における鉄の蓄積とフェロトーシスの関係や、フェロトーシスが具体的にどのように病気に関与するのかについては、?分に解明されていませんでした。<br/> また、フェロトーシスは肝臓がんの?術や肝移植の際に起こる肝虚?再灌流傷害(?語4)とも関係していると考えられており、より詳しい仕組みの解明が求められていました。</p>&#13; <p><br/>●研究成果<br/> 研究チームはまず、鉄を調節する重要なタンパク質「FBXL5」を?損したマウスを?い、肝臓に鉄を蓄積させた状態で実験を?いました。このマウスにさらに鉄を過剰に与えると、肝臓内の細胞が酸化的ダメージを受けて急激に死に?ることが判明し、これがフェロトーシスによるものであることが確認されました。さらに、このような肝臓傷害時に共通して現れる遺伝?変化を網羅的に解析することで、「iFerroptosis」と名付けた100 個の特徴的な遺伝?群を同定しました。この遺伝?セットは、さまざまな肝疾患マウスモデルやヒトの臨床データにおいても?い再現性を?しており、肝臓でフェロトーシスが進?しているかどうかを評価する“サイン”として、信頼性の?い指標となり得ることが明らかになりました。<br/> さらに、熊本?学病院で肝切除?術を受けた肝細胞がん患者のデータを解析した結果、術前の?清鉄濃度が?い患者では、術後の肝酵素(AST?ALT、?語5)の回復が遅れ、肝傷害が持続する傾向があることが?されました。?清鉄濃度が?い患者では、肝臓における鉄の蓄積がフェロトーシス感受性を?め、肝虚?再灌流傷害に伴う肝細胞死を助?していることが?唆されました。<br/> 本研究は、フェロトーシスの病的意義をマウスとヒトの両?のデータから明らかにした点で先駆的であり、鉄代謝の制御が外科的 介?による肝傷害の予防?管理における新たな治療標的となる可能性を?しています。</p>&#13; <p><br/>●社会的インパクト<br/> 本研究成果は、肝疾患の診断や予後予測に新たな視点をもたらすものです。たとえば、肝臓がんの?術や肝移植を?う前に、患者の?清鉄濃度や肝臓内の鉄蓄積の程度、さらにiFerroptosis の発現状態を調べることで、術後にどの程度のダメージが?じるか、肝臓がどの程度回復するかを予測できる可能性があります。<br/> また、フェロトーシスを事前に抑制する治療(例:抗酸化薬の投与)を組み合わせることで、患者の予後を?きく改善できるような治療法の開発も期待されます。<br/> このように、iFerroptosis を活?した診断ツールの開発や、フェロトーシス制御を?的とした新薬の創出といった今後の応?展開が期待されます。</p>&#13; <p><br/>●今後の展開<br/> 本研究により、肝臓病とフェロトーシスの関係や、フェロトーシスの評価?法としてのiFerroptosis の有効性が?されました。今後は、?臓?腎臓?脳など他の臓器にも同様のアプローチを応?し、フェロトーシスが全?に及ぼす影響を広く検討していくことが求められます。<br/> また、すでに市場に存在する鉄キレート剤や抗酸化薬をどのように活??最適化し、フェロトーシスが関与する病態の予防や治療に役?てていくかも、今後の臨床研究における重要な課題となると考えられます。</p>&#13; <p><br/>●付記<br/>本研究成果は?本学術振興会 科学研究費補助?、科学技術振興機構、?林がん研究<br/>振興財団、?松宮妃癌研究基?、?原?郎記念医学医療振興財団、?本がん研究振興財<br/>団、加藤記念バイオサイエンス振興財団、?本医療研究開発機構、および健康?寿代謝<br/>制御研究拠点共同研究助成の?援を受けて実施したものです。</p>&#13; <p><br/>【参考?献】<br/>[1] Toshiro Moroishi, Masaaki Nishiyama, Yukiko Takeda, Kazuhiro Iwai, Keiichi I.<br/>Nakayama, Cell Metabolism, 2011, 14, 339-351<br/>DOI: 10.1016/j.cmet.2011.07.011<br/>[2] Scott J. Dixon, Kathryn M. Lemberg, Michael R. Lamprecht, Rachid Skouta,<br/>Eleina M. Zaitsev, Caroline E. Gleason, Darpan N. Patel, Andras J. Bauer,<br/>Alexandra M. Cantley, Wan Seok Yang, Barclay Morrison III, Brent R. Stockwell,<br/>Cell, 2012, 149, 1060-1072<br/>DOI: 10.1016/j.cell.2012.03.042</p>&#13; <p><br/>【?語説明】<br/>(1) FBXL5:体内の鉄を適切に調節する役割をもつタンパク質。この遺伝?が?損すると、鉄が過剰に蓄積する。<br/>(2) フェロトーシス:鉄による脂質の酸化によって誘導される、新しいタイプの細胞死の?つ。がんやさまざまな肝疾患との関 連が注?されている。<br/>(3) iFerroptosis:本研究で特定された、肝臓でフェロトーシスが起きた際に共通して発現変化がみられる100 個の特徴的な遺伝?群。<br/>(4) 肝虚?再灌流傷害:肝臓への?流が?時的に途絶えた後、再び流れ始めたときに?じる組織傷害。?術時や肝移植の際に発?することがある。<br/>(5) ALT?AST:肝臓がダメージを受けると?液中で増加する酵素。肝機能を評価する?液検査項?として広く?いられている。</p>&#13; <p><span>【論?情報】<br/>掲載誌:Hepatology Communications<br/>論?タイトル:Integrated hepatic ferroptosis gene signature dictates pathogenicfeatures of ferroptosis<br/>著者:Takashi Matsumoto, Akihiro Nita, Yohei Kanamori, Ayato Maeda, Tomomi Nita,Noriko Yasuda-Yoshihara, Kosuke Mima, Hirohisa Okabe, Katsunori Imai, Hiromitsu Hayashi, Yuta Matsuoka, Katsuya Nagaoka, Keiichi I. Nakayama, Yuki Sugiura,<br/>Yasuhito Tanaka, Hideo Baba, Toshiro Moroishi<br/>DOI:10.1097/HC9.0000000000000721</span></p>&#13; <p/>&#13; <p><br/>(報道取材申し込み先)<br/><br/>熊本?学 総務部 総務課 広報戦略室<br/>Email: sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp<br/>TEL: 096-342-3269 FAX: 03-5734-3110</p>&#13; <p><span/></p>&#13; <p><strong/></p>&#13; <div>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release250530.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF601KB)</div>&#13; <div>※画像も掲載しております。</div>&#13; <div/>&#13; <div> </div>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <p/>&#13; <address>&#13; <p><strong> お問い合わせ</strong></p>&#13; <p>熊本大学総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3269<br/>e-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/05/30 15:55:00 GMT+9 ページ AiRato×熊本大学「食道癌に対する強度変調回転放射線治療の自動計画」をテーマに共同研究を開始_365体育官网 /whatsnew/seimei/airato <![CDATA[<p><span>AiRato(本社:宮城県仙台市、代表取締役:木村祐利、以下「AiRato」)と熊本大学大学院生命科学研究部(所在地:熊本県熊本市、研究代表:大屋夏生、以下「熊本大学」)は「食道癌に対する強度変調回転放射線治療の自動計画」に関する共同研究を2025年4月より開始しました。</span></p>&#13; <p><span><strong><u>研究の内容と目的</u></strong></span></p>&#13; <p><span>本研究では、放射線治療が適応となる食道癌患者さんを対象に、(※)強度変調回転放射線治療の放射線治療計画を作成するためのAI技術の開発を行っていきます。将来的にはAI放射線治療計画支援ソフトウェアとして社会実装を目指しています。</span></p>&#13; <p><span/><span>(※)強度変調回転放射線治療(VMAT:Volume Modulated Therapy)</span></p>&#13; <p><span>回転しながら放射線を照射することで、短時間かつ高精度に照射が可能な治療法</span></p>&#13; <p><span>?</span></p>&#13; <p><span><strong><u>研究の特徴と展望</u></strong></span></p>&#13; <p><span>AiRatoが独自に開発しているAIでは、様々な放射線画像をかけ合わせてAI分析をしており、このAI技術に関して国内トップクラスの食道癌の臨床データと臨床知見を有する熊本大学と共同で研究することで、臨床現場で真に活用できる自動治療計画作成AIの開発を目指しています。</span></p>&#13; <p><span/><span>?</span></p>&#13; <p><span><strong><u>関係者コメント</u></strong></span></p>&#13; <p>?研究代表</p>&#13; <p>熊本大学大学院生命科学研究部 放射線医学講座 教授 大屋夏生</p>&#13; <p>このたび、<span>AiRato</span>株式会社と強度変調回転放射線治療の治療計画支援ソフトウェアに関する共同研究を開始できることを、嬉しく思っております。本研究は、医療現場における診療の質向上や効率化のみならず、患者さん一人ひとりに最適化された高精度治療のさらなる普及を促し、癌治療の治療成績向上に寄与する重要なテーマと認識しております。熊本大学としては、これまでに蓄積してきた医学的知見を活かしつつ、<span>AiRato</span>社の<span>AI</span>技術と連携することで、実用的な治療計画支援ソフトウェアが開発されることを期待しています。本共同研究を通じて、医療とテクノロジーの融合による新たな価値創出と社会貢献を実現できることを、非常に楽しみにしております。</p>&#13; <p>?アイラト株式会社</p>&#13; <p>代表取締役 木村祐利</p>&#13; <p>この度、食道癌放射線治療研究を長年リードされてきた大屋夏生教授と、強度変調回転放射線治療の自動治癒計画作成に関する共同研究を開始できますことは、弊社にとって大きな喜びであり、身の引き締まる思いです。長年にわたり食道癌に対する放射線治療を牽引されてきた大屋教授がいらっしゃる熊本大学だからこそ、この重要なテーマに共に取り組むことができると確信しております。</p>&#13; <p>AiRatoが強みとする<span>AI</span>技術と、熊本大学様が蓄積された豊富な臨床データ、そして大屋教授の卓越した臨床知見が融合することで、これまでにない高精度かつ効率的な放射線治療計画の自動化が実現できると期待しております。</p>&#13; <p>私たちのミッション「放射線治療で、すべてのがん患者を救う」の達成に向け、大屋教授をはじめとする熊本大学の皆様との緊密な連携を通じて、食道癌治療の発展に貢献できるよう、全力で研究に取り組んでまいります。この共同研究が、多くの患者様にとって希望となる革新的な治療法へと繋がるよう、邁進してまいります。</p>&#13; <p><span>?</span></p>&#13; <p><span>法人?会社概要</span></p>&#13; <p>?国立大学法人熊本大学</p>&#13; <p>教育?研究の両面で世界的に高い評価を受ける総合大学です。生命科学研究部においては、現在<span>3</span>部門<span>15</span>分野<span>72</span>研究講座からなる研究特化型の教員組織です。「総合医薬科学部門」では、医学?薬学及び保健学分野の基盤的な学問体系の深化を目指した研究を、「先端生命医療科学部門」では移植医療やゲノム創薬に加え医療技術科学などの先端的研究を、「環境社会医学部門」では、“医学?薬学と社会”、“疾病と環境の関わり”について看護学を通し、生命倫理及び健康と社会に関する先導的研究を推進します。生命と医療に関する研究を通じて人類の健康と福祉に貢献すること、また世界で活躍できる次世代の優れた人材を育成することを目指しています</p>&#13; <p><span>Webサイト:<a href="/">/</a> </span></p>&#13; <p>?</p>&#13; <p>?アイラト株式会社</p>&#13; <p>放射線によるがんの治療には、近年追い風が吹いています。がんの<span>3</span>大治療法とも呼ばれる手術、抗がん剤、放射線。このうち放射線による治療は体にメスを入れることも痛みを伴うこともなくがんを治療することができるため、身体的な負担の少ない低侵襲の治療法として需要が高まっています。アイラト株式会社は「放射線治療で、すべてのがん患者を救う」をミッションに掲げ医療<span>AI</span>を用いた放射線治療計画支援サービスの開発を行い、最先端放射線治療の治療成績向上や業務量改善を目指し活動しています。</p>&#13; <p>コーポレートサイト:<a href="https://airato.jp/">https://airato.jp/</a></p>&#13; <p/>]]> No publisher 研究 その他 2025/05/28 09:15:00 GMT+9 ページ 室温で半導体pn接合を介したスピン伝導を初観測! ―消費電力の増大に歯止めをかける次世代スピントロニクスデバイス開発に期待―_365体育官网 /whatsnew/sizen/20250527 <![CDATA[<p style="text-align: justify;"><span>【ポイント】</span></p>&#13; <ul>&#13; <li>ほとんど全ての半導体デバイスには、電流の<span>ON/OFF</span>制御のために<em><span>pn</span></em>接合<sup>※<span>1</span></sup>が搭載されている。</li>&#13; <li>半導体<em><span>pn</span></em>接合を用いたスピントロニクスデバイス構造では「室温」での実証例はない。</li>&#13; <li>本研究では、次世代半導体であるゲルマニウム(<span>Ge</span>)の<em><span>pn</span></em>接合を有するスピントロニクスデバイス構造において、室温でスピン伝導を観測することに成功。</li>&#13; <li>優れた<span>ON/OFF</span>特性を有する半導体スピントロニクスデバイスの要素技術を構築。</li>&#13; </ul>&#13; <p style="text-align: justify;">【概要説明】</p>&#13; <p>大阪大学大学院基礎工学研究科の大木健司さん(博士後期課程)、上田信之介さん(博士前期課程)、浜屋宏平教授、同大学先導的学際研究機構 スピン学際研究部門 宇佐見喬政講師、熊本大学半導体?デジタル研究教育機構の山本圭介教授、東京都市大学総合研究所の澤野憲太郎教授らの共同研究グループは、半導体<em><span>pn</span></em>接合を有するデバイス構造において、世界で初めて室温でスピン伝導を観測することに成功しました。</p>&#13; <p>現在、<span>AI(</span>半導体<span>)</span>の普及により大規模データセンターの消費電力は深刻な増大を続けています。そこで、低消費電力演算機能と不揮発メモリ機能を併せ持つ次世代の半導体スピントロニクスデバイスの開発が進められています。この不揮発メモリ機能の実現には、電子が持つ磁石としての性質(スピン)を保持したまま、半導体中を電子が伝導する「スピン伝導」の実証が不可欠です。これまで共同研究グループは、半導体ゲルマニウム<span>(Ge)</span>と高性能スピントロニクス磁性材料(強磁性ホイスラー合金<sup>※<span>2</span></sup>)を高品質に直接接合した構造を独自に開発し、「室温スピン伝導」を実証してきました。しかし、一般的な半導体デバイスには、電流の<span>ON/OFF</span>制御を担う<em><span>pn</span></em>接合が存在しているため、この<em><span>pn</span></em>接合を有するデバイス構造における「室温スピン伝導」を観測する必要があります。これまでの先行研究では、極低温のみで動作する<span>III-V</span>族強磁性半導体<sup>※<span>3</span></sup>を利用した知見のみしか存在せず、<em><span>pn</span></em>接合がスピンデバイスの室温動作にどのような影響を与えるのかさえも不明でした。</p>&#13; <p>共同研究グループは今回、量子力学的バンド間トンネル(<span>band-to-band tunneling; BTBT</span>)伝導<sup>※<span>4</span></sup>を利用して電流変調を行うトンネル<span>FET</span>(<span>TFET</span>)<sup>※<span>5</span></sup>の技術を、半導体スピントロニクスデバイスに応用するという新たなアプローチを着想しました。本研究では、新型の半導体スピントロニクスデバイスである「スピン<span>TFET</span>」の実現に向けた第一歩として、半導体<span>Ge</span>と強磁性ホイスラー合金を高品質に直接接合した構造に<em><span>pn</span></em>接合を取り入れ、<em><span>pn</span></em>接合における<span>BTBT</span>伝導を介した室温スピン伝導を観測することに成功しました。</p>&#13; <p>本研究成果は、スピン<span>TFET</span>の実現に向けた重要な一歩として評価され、米国物理学会の学術論文誌「<span>Physical Review Applied </span>」に<span>Letter</span>として掲載(オンライン<span>:2025</span>年5月23日)されました。</p>&#13; <p/>&#13; <p>【本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)】</p>&#13; <p>低消費電力演算と低消費電力不揮発メモリ機能を併せ持つ「スピン<span>TFET</span>」の実現は、大規模データセンターにおける消費電力の増大に歯止めをかける新しいスピントロニクスデバイスとして期待されます。本研究成果をさらに発展させることで、日本初の革新的な半導体デバイスの実現と、<span>2050</span>年カーボンニュートラル社会の実現に貢献できると考えています。</p>&#13; <p/>&#13; <p>【用語説明】</p>&#13; <p>※1 <em><span>pn</span></em>接合</p>&#13; <p>半導体には、電気伝導を担うキャリアとして電子と正孔の<span>2</span>種類が存在する。キャリアとして電子が多い半導体を<em><span>n</span></em>型半導体、正孔が多い半導体を<em><span>p</span></em>型半導体と呼び、<em><span>n</span></em>型半導体と<em><span>p</span></em>型半導体を積層した構造は<em><span>pn</span></em>接合と呼ばれている。<em><span>pn</span></em>接合は、電流を一方向に流す整流性や、電流注入による発光などの特性を持ち、半導体デバイスの基盤技術として広く利用されている。</p>&#13; <p><span>※2 ?</span>強磁性ホイスラー合金</p>&#13; <p>ホイスラー合金は構成原子が規則正しく配列した規則合金のことであり、その構成元素や規則性に依存して様々な特性を示す。特に、強磁性ホイスラー合金では完全にスピン偏極した状態の材料が理論的に予想されており、高性能なスピントロニクス材料として注目を集めている。</p>&#13; <p><span>※3 ?</span>III-V族強磁性半導体</p>&#13; <p>半導体と磁性の両方の性質を併せ持つ材料を指す。代表的な強磁性半導体としては、<span>GaAs</span>などの<span>III-V</span>族半導体に<span>Mn</span>などの不純物元素を添加したものが挙げられる。従来の半導体技術を基盤としつつ、磁性を活用したデバイスへの応用が可能であり、スピントロニクス材料として研究されている。</p>&#13; <p><span>※4 ?</span>バンド間トンネル(<span>band-to-band tunneling</span>:<span>BTBT</span>)伝導</p>&#13; <p>半導体の<em><span>pn</span></em>接合は、電流を一方向に流す整流性と呼ばれる性質がある。しかし、<em><span>pn</span></em>接合の幅を適切に設計することで、量子力学的なトンネル効果が生じ、伝導が制限される方向にもキャリアの伝導が可能となる。この現象をバンド間トンネル(<span>BTBT</span>)伝導と呼ぶ。後述のトンネル<span>FET</span>における急峻なスイッチング特性の実現に重要な役割を果たす。</p>&#13; <p><span>※5 ?</span>トンネル<span>FET</span>(<span>TFET</span>)</p>&#13; <p>バンド間トンネル(BTBT)伝導を利用して、急峻な<span>ON/OFF</span>動作を実現する新型トランジスタのこと。ゲート電圧の印加によって電子のトンネル確率を制御でき、この原理によりデバイスの<span>ON/OFF</span>動作が可能となる。従来の<span>MOSFET</span>と比較して低電圧での動作が可能であり、低消費電力動作が期待されている。</p>&#13; <p><br/>【論文情報】</p>&#13; <p>論文名:Room-temperature spin transport through band-to-band tunneling at semiconductor <em>pn</em> junctions</p>&#13; <p>著者:K. Oki, S. Ueda, T. Usami, S. Fujii, S. Kikuoka, K. Yamamoto, K. Sawano, and K. Hamaya</p>&#13; <p>掲載誌:Physical Review Applied 」</p>&#13; <p>doi:<a href="https://journals.aps.org/prapplied/abstract/10.1103/PhysRevApplied.23.L051005">https://doi.org/10.1103/PhysRevApplied.23.L051005</a></p>&#13; <p/>&#13; <p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250527.pdf">プレスリリース</a>(PDF557KB)</p>&#13; <p><br/><br/></p>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>????  <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_07_ja_2.png/@@images/aaab6e72-31b0-4f6e-aeb0-281c879eca6e.png" title="sdg_icon_07_ja_2.png" width="133" alt="sdg_icon_07_ja_2.png" height="127" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3271<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/05/27 14:00:00 GMT+9 ページ 分娩後異常出血の新分類「PRACE」 ―CT検査による重症度の層別化で母体救命率向上へ―_365体育官网 /whatsnew/seimei/20250526-3 <![CDATA[<p>【ポイント】</p>&#13; <ul>&#13; <li>全国43施設による多施設共同研究において、重症の分娩後異常出血に対してダイナミックCTを行った患者の約3割に「PRACE」と呼ばれる特徴的な所見が認められました。</li>&#13; <li>PRACEを認めた症例は、子宮動脈塞栓術を必要とするリスクが顕著に高いことが明らかになりました。</li>&#13; <li>本成果により、重症の分娩後異常出血症例においてCT画像所見に基づいた迅速な治療判断が可能となり、母体の救命率向上が期待されます。</li>&#13; </ul>&#13; <p/>&#13; <p>【概要説明】</p>&#13; <p>熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学の近藤英治教授らの研究グループは、日本全国の周産期医療施設と連携し、重症の分娩後異常出血症例を対象とした大規模な後ろ向き共同研究を実施しました。その結果、ダイナミックCT画像の早期相において子宮内腔への造影剤漏出を認める「PRACE(<strong><u>p</u></strong>ostpartum hemorrhage, <strong><u>r</u></strong>esistance to treatment, and <strong><u>a</u></strong>rterial <strong><u>c</u></strong>ontrast <strong><u>e</u></strong>xtravasation)」という特徴的な所見が、子宮動脈塞栓術などの介入的治療を必要とするリスクと強く関連していることが明らかになりました。</p>&#13; <p>従来、分娩後出血の重症度は主に出血量に基づいて判断されてきましたが、本研究は、画像診断により通常の処置では止血が難しい可能性のある症例を早期に鑑別できる可能性を示しています。今後、この所見を活用した診断アルゴリズムの導入により、母体死亡のさらなる減少につながることが期待されます。</p>&#13; <p>本研究成果は、2025年(令和7年)5月23日米国東部時間10時に、国際科学雑誌「JAMA Network Open」に掲載される予定です。なお、本研究は、日本産科婦人科学会周産期委員会の支援を受けて実施されました。</p>&#13; <p><strong/></p>&#13; <p><strong>(説明)</strong></p>&#13; <p><strong>【背景】</strong></p>&#13; <p>出産後の大量出血は、母体の生命に関わる危険な状態を引き起こします。救命のためには、出血の原因を迅速かつ正確に特定し、早期に適切な治療を行うことが重要です。これまで重症度は主に出血量に基づき判断されてきましたが、通常の治療で止血が難しいタイプの出血があり、その早期識別法は確立されていませんでした。</p>&#13; <p/>&#13; <p><strong>【研究の内容】</strong></p>&#13; <p>熊本大学の近藤英治教授を中心とする研究グループは、日本全国43の高度医療機関と連携し、2021年に発生した重症の分娩後異常出血352例について調査を行いました。造影剤を急速に血管投与し、複数回撮影することで血管や血流の状態変化をより鮮明に捉えることができる「ダイナミックCT」検査を行うと、撮影の早期相において子宮内腔への造影剤の漏出を認めることがあります。これは、子宮から動脈性の出血が生じていることを示しており、子宮収縮薬などの従来の治療では止血が難しいタイプの出血と考えられます。この分娩後異常出血の新しい所見を、近藤英治教授らはPRACE(postpartum hemorrhage, resistance to treatment, and arterial contrast extravasation)として提唱しました。本研究では、PRACEの頻度とその臨床的意義、また子宮動脈塞栓術などの治療介入との関連性を検証しました。</p>&#13; <p>?<strong>【成果】</strong></p>&#13; <p>調査対象の352例のうち、205例にCT検査が実施され、そのうち約3割(32.2%)にPRACEの所見が確認されました。PRACEの症例では、出血量が有意に多く、血液を固める成分であるフィブリノゲンの減少も見られました。また、輸血量が多く、子宮動脈塞栓術が行われた割合は86.2%に達し、PRACE陰性群における実施率(28.6%)と比較して大きな差が認められました。さらにPRACEの所見がある場合、子宮動脈塞栓術を要するリスクが顕著に高いことが示されました(オッズ比 <span>27.7</span>)。</p>&#13; <p><strong>【展開】</strong></p>&#13; <p>本研究は、出産後の大量出血に対する管理において、CT画像診断を活用することで出血の重症度を早期に見極め、迅速な治療選択を行うことの重要性を示しました。今後は、PRACEの識別を組み込んだ治療アルゴリムの開発とその普及が求められます。これにより、全国の医療機関において出産後の大量出血に対する重症度の層別化が進み、迅速かつ適切な治療が選択されることで、母体の救命率のさらなる向上が期待されます。</p>&#13; <p><strong>?</strong></p>&#13; <p><strong>【論文情報】</strong></p>&#13; <p>論文名:Dynamic CT Findings as Indicators of Uterine Artery Embolization in Postpartum Hemorrhage</p>&#13; <p>著者:Munekage Yamaguchi, Eiji Kondoh et al.</p>&#13; <p>掲載誌:JAMA Network Open</p>&#13; <p>doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.12209</p>&#13; <p>URL: <a href="https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2834367">https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2834367</a></p>&#13; <p><span/></p>&#13; <p><strong>お問い合わせ先</strong></p>&#13; <p>熊本大学大学院生命科学研究部 産科婦人科学</p>&#13; <p>担当:山口宗影(特任准教授)</p>&#13; <p>電話:096-373-5269</p>&#13; <p>e-mail:munekage@hotmail.co.jp</p>&#13; <p><span/></p>&#13; <p><strong/></p>&#13; <div>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250526-3.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF352KB)</div>&#13; <div/>&#13; <div/>&#13; <div> </div>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <p/>&#13; <address>&#13; <p><strong> お問い合わせ</strong></p>&#13; <p>熊本大学総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3269<br/>e-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/05/26 16:50:00 GMT+9 ページ 廃棄血液から再生医療に重要な血小板溶解物の製造に成功 ~廃棄予定の血液フィルターから作製したヒト血小板溶解物が幹細胞培養の新たな選択肢に~_365体育官网 /whatsnew/seimei/20250526-2 <![CDATA[<p>【ポイント】</p>&#13; <ul>&#13; <li>廃棄するフィルターに残存する血小板と血漿成分を回収加工し高品質<span>f-hPL</span>の製造法を確立。</li>&#13; <li>作製された<span>f-hPL</span>は市販<span>FBS</span>の<span>4</span>倍、商用<span>hPL</span>とは同等以上の<span>MSC</span>増殖能を発揮。</li>&#13; <li><span style="text-indent: -0.6em;">日本が世界をリードしている再生医療領域における本製剤の応用を期待。</span></li>&#13; </ul>&#13; <p/>&#13; <p>【概要説明】</p>&#13; <p>北海道大学大学院医学研究院の藤村 幹教授,熊本大学大学院生命科学研究部の大槻 純男教授らの研究チーム、株式会社<span>RAINBOW</span>(本社:札幌市)、及び日本赤十字社北海道ブロック血液センターは、間葉系幹細胞(<span>MSC</span>)<sup><span>*1</span></sup>の増殖に有効な培養サプリメントとして、廃棄予定の白血球除去フィルター<sup><span>*2</span></sup>から回収した血小板と血漿を用いたヒト血小板溶解物(以下、<span>f-hPL</span>)の製造に成功し、その有効性を実証しました。</p>&#13; <p>再生医療や細胞治療の実用化には、細胞の大量増殖が不可欠となっています。これまでの細胞培養ではウシ胎児血清(<span>FBS</span>)<sup><span>*3</span></sup>が一般的に使用されていましたが、免疫反応や倫理的懸念、動物由来感染症のリスクなどの課題がありました。<span>f-hPL</span>はこれに代わる有望な選択肢ですが、ヒト由来の原料確保が難しく、臨床用に十分な量を確保することが難しいとされてきました。</p>&#13; <p>そこで研究グループは、血液製剤の製造過程で用いられる白血球除去フィルターに着目し、フィルターに残存する血小板と血漿成分を回収?加工することで、有効性?安全性の高い<span>f-hPL</span>の製造法を確立しました。これにより、一つのフィルターから<span>3.5×10<sup>10</sup></span>個の血小板を回収可能(平均回収率<span>37.1%</span>)となったほか、最適なタンパク濃度(<span>27mg/mL</span>)で作製された<span>f-hPL</span>は、市販<span>FBS</span>の<span>4</span>倍、商用<span>hPL</span>とは同等以上の<span>MSC</span>増殖能を発揮することも明らかになりました。<span>MSC</span>は<span>ISCT</span>の基準を満たす表面マーカーを発現し、三系統(脂肪?骨?軟骨)への分化能も保持しています。</p>&#13; <p>また、自動細胞培養装置(<span>Quantum</span>)<sup><span>*4</span></sup>による臨床スケールでの大量培養にも成功し、<span>90%</span>以上の細胞生存率を実現しました。今後は、<span>GMP</span>準拠の製造プロセス開発と各種臨床研究への展開に向け、学術機関や企業との連携を強化していく予定です。なお、本研究成果は、<span>2025</span>年<span>4</span>月<span>23</span>日(水)公開の、<span>Stem Cell Research &amp; Therapy</span>(<span>Springer Nature</span>)にオンライン掲載されました。</p>&#13; <p><strong>【背景】</strong></p>&#13; <p>再生医療や細胞治療の実用化には、細胞の大量増殖が不可欠となっています。これまでの細胞培養ではウシ胎児血清(<span>FBS</span>)が一般的に使用されていましたが、免疫反応や倫理的懸念、動物由来感染症のリスクなどの課題がありました。<span>f-hPL</span>はこれに代わる有望な選択肢ですが、ヒト由来の原料確保が難しく、臨床用に十分な量を確保することが難しいとされてきました。その様な中、血液製剤の製造に使用される白血球除去フィルターには大量の血小板が捕捉されていることに着目し、研究を開始しました。</p>&#13; <p>?</p>&#13; <p><strong>【研究手法】</strong></p>&#13; <p>本研究では、血液製剤の製造過程で用いられる白血球除去フィルターに着目し、フィルターに残存する血小板と血漿成分を回収?加工することで、有効性?安全性の高い<span>f-hPL</span>の製造法を確立しました(図<span>1</span>)。</p>&#13; <p>これにより、一つのフィルターから<span>3.5×10<sup>10</sup></span>個の血小板を回収可能(平均回収率<span>37.1%</span>)となりました。また、最適なタンパク濃度(<span>27mg/mL</span>)で作製された<span>f-hPL</span>は、市販<span>FBS</span>の<span>4</span>倍、商用<span>hPL</span>とは同等以上の<span>MSC</span>増殖能を発揮します。<span>MSC</span>は<span>ISCT</span>の基準を満たす表面マーカーを発現し、三系統(脂肪?骨?軟骨)への分化能も保持しています。</p>&#13; <p>加えて、自動細胞培養装置(<span>Quantum</span>)による臨床スケールでの大量培養にも成功し、<span>90%</span>以上の細胞生存率を実現しました。</p>&#13; <p>?</p>&#13; <p><strong>【研究成果】</strong></p>&#13; <p>本研究は、これまで廃棄されていた白血球除去フィルター内の残存血小板?血漿成分を有効活用し、間葉系幹細胞(<span>MSC</span>)の高効率培養を可能とする「再生医療用サプリメント(<span>f-hPL</span>)」の製造法を確立したものであり、以下の<span>3</span>点で高い意義を有しています。</p>&#13; <p>①<span>??? </span>持続可能な再生医療資源の確保</p>&#13; <p>血液製剤製造の副産物を有効活用することで、既存インフラを利用した低コストかつ持続可能な細胞治療基盤が構築可能になります。特に、血小板の安定供給が課題となっていた<span>hPL</span>製剤に対し、現実的な解決策を提示する成果です。</p>&#13; <p>②<span>??? </span>再生医療等製品の実用化を加速</p>&#13; <p>今回作製された<span>f-hPL</span>は、<span>FBS</span>や商用<span>hPL</span>と比較して<span>MSC</span>の増殖能が顕著に高く、臨床グレードの細胞製品を高品質?高効率で製造できる可能性が示されました。細胞老化の抑制効果や分化能の保持といった特性も確認されており、再生医療等製品の<span>GMP</span>製造工程への応用が期待されます。</p>&#13; <p>③<span>??? </span>医療廃棄物の再資源化と<span>SDGs</span>への貢献</p>&#13; <p>白血球除去フィルターはこれまで医療廃棄物として処理されていましたが、本研究はこれを「再生可能資源」として位置づけ、医療分野における資源循環モデルを構築しています。これは国連の持続可能な開発目標(<span>SDGs</span>)<span>12</span>「つくる責任?つかう責任」にも合致する先導的な取り組みです。</p>&#13; <p>?</p>&#13; <p><strong>【今後への期待】</strong></p>&#13; <p>今後は、<span>GMP</span>準拠の製造プロセス開発と各種臨床研究への展開に向け、学術機関や企業との連携を強化してまいります。また、本製法を用いた<span>hPL</span>製品の商用化や国際的な供給体制の構築も視野に入れており、再生医療の普及と産業化に貢献する新たなプラットフォームとしての展開が期待されます。</p>&#13; <p><strong>【謝辞】</strong></p>&#13; <p>本研究は経済産業省<span>Go-Tech</span>、株式会社<span>RAINBOW</span>の助成、および国?研究開発法??本医療研究開発機構 生命科学?創薬研究支援基盤事業(<span>JP24ama121018)</span>の支援を受けたものです。</p>&#13; <p><strong>?</strong></p>&#13; <p><strong>【論文情報】</strong></p>&#13; <p>論文名 Human platelet lysate produced from leukoreduction filter contents enables sufficient MSC growth(白血球除去フィルター由来の血小板融解物は幹細胞増殖に有益な材料となる)</p>&#13; <p>著者名 若本志乃舞<sup><span>1</span></sup><span>, </span>古川友子<sup><span>2</span></sup><span>, </span>川堀真人<sup><span>3</span></sup><span>, </span>秋野光明<sup><span>1</span></sup><span>, </span>加藤志歩<sup><span>1</span></sup><span>, </span>布施久恵<sup><span>1</span></sup><span>, </span>大槻純男<sup><span>4</span></sup><span>, </span></p>&#13; <p>鳥本悦宏<sup><span>1</span></sup><span>, </span>藤村 幹<sup><span>3</span></sup><span>, </span>紀野修一<sup><span>1</span></sup></p>&#13; <p>(<sup><span>1</span></sup>日本赤十字社北海道ブロック血液センター、<sup><span>2</span></sup>株式会社<span>RAINBOW</span>、<sup><span>3</span></sup>北海道大学大学院医学研究院、<sup><span>4</span></sup>熊本大学)</p>&#13; <p>雑誌名 Stem Cell Research &amp; Therapy(再生医療及び幹細胞研究分野における国際的な専門誌)</p>&#13; <p>DOI <span>10.1186/s13287-025-04329-y</span></p>&#13; <p>公表日 <span>2025</span>年<span>4</span>月<span>23</span>日(水)(オンライン公開)</p>&#13; <p><strong>お問い合わせ先</strong></p>&#13; <p>北海道大学大学院医学研究院 講師 川堀真人(かわぼりまさひと)</p>&#13; <p>URL <span>https://neurosurgery-hokudai.jp</span></p>&#13; <p>株式会社<span>RAINBOW</span> 広報担当</p>&#13; <p>メール <span>info@rainbowinc.co.jp</span></p>&#13; <p>URL <span>https://rainbowinc.co.jp</span></p>&#13; <p>日本赤十字社北海道ブロック血液センター製剤部 部長 秋野光明(あきのみつあき)</p>&#13; <p><span>?</span>メール <span>m-akino@hokkaido.bc.jrc.or.jp</span></p>&#13; <p>URL <span><a href="https://www.bs.jrc.or.jp/hkd/bbc/m0_02_1.html">https://www.bs.jrc.or.jp/hkd/bbc/m0_02_1.html</a></span></p>&#13; <p>熊本大学大学院生命科学研究部 教授 大槻純男(おおつきすみお)</p>&#13; <p>TEL <span>011-706-2610</span>  FAX <span>011-706-2092</span>  メール <span>sohtsuki@kumamoto-u.ac.jp</span></p>&#13; <p>URL <span>https://ohtsuki-lab.jp/ja/</span></p>&#13; <p><span/></p>&#13; <p><strong>配信元</strong></p>&#13; <p>北海道大学社会共創部広報課(〒<span>060-0808 </span>札幌市北区北<span>8</span>条西<span>5</span>丁目)</p>&#13; <p>TEL <span>011-706-2610</span>  FAX <span>011-706-2092</span>  メール <span>jp-press@general.hokudai.ac.jp</span></p>&#13; <p>株式会社<span>RAINBOW (</span>〒<span>001-0021 </span>札幌市北区北<span>21</span>条西<span>11</span>丁目北海道大学<span>FMI 1</span>階<span>HX</span>内<span>)</span></p>&#13; <p>メール <span>info@rainbowinc.co.jp</span></p>&#13; <p>熊本大学総務部総務課広報戦略室(〒<span>860-8555 </span>熊本市中央区黒髪<span>2</span>丁目<span>39</span>番<span>1</span>号)</p>&#13; <p>TEL <span>096-342-3269</span>  FAX <span>096-342-3110</span>  メール sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>&#13; <div>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250526-2.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF1,252KB)</div>&#13; <div/>&#13; <div/>&#13; <div> </div>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <p/>&#13; <address>&#13; <p><strong> お問い合わせ</strong></p>&#13; <p>熊本大学総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3269<br/>e-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/05/26 16:50:00 GMT+9 ページ 生薬成分グリチルリチン酸によって誘導される新たな植物細胞死モデル系の確立_365体育官网 /whatsnew/sizen/20250523 <![CDATA[<p><strong>(ポイント)</strong></p>&#13; <ul>&#13; <li>甘草に含まれる生理活性物質であるグリチルリチン酸は動物の特定のがん細胞において細胞死を誘導しますが、タバコ培養細胞においても細胞死を誘導することを発見しました。</li>&#13; <li>タバコ培養細胞におけるグリチルリチン酸誘導性細胞死の過程で、ミトコンドリア膜電位の低下と脂質過酸化が生じることを明らかにしました。</li>&#13; <li>本成果は、植物における酸化ストレス応答や細胞死機構の解明に貢献する、新たな植物バイオアッセイ系の構築と位置付けられます。</li>&#13; </ul>&#13; <p style="text-align: justify;"><span/>【概要説明】 </p>&#13; <p>熊本大学理学部4年(当時)の平瀬一真大学生と同大学院先端科学研究部の檜垣匠教授は、植物細胞のモデル系として広く利用されているタバコBY-2細胞を用いて、動物細胞における抗腫瘍作用が知られるグリチルリチン酸処理に対する細胞応答を解析しました。その結果、グリチルリチン酸は濃度?時間依存的に細胞死を引き起こすこと、さらにその過程でミトコンドリア膜電位の低下と脂質過酸化を伴うことを見出しました。</p>&#13; <p>これらの成果は、グリチルリチン酸の抗腫瘍作用が、植物のモデル細胞系であるタバコBY-2細胞にも及ぶ可能性を示したものであり、植物におけるストレス応答や細胞死メカニズムの新たな研究基盤となることが期待されます。また、本成果は細胞死を指標とした植物用の化合物スクリーニング系やバイオアッセイ系の構築にも応用が可能です。</p>&#13; <p>本研究成果は令和7年5月21日、科学雑誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」に掲載されました。本研究はJST CRESTの支援を受けて実施されました。</p>&#13; <p>【今後の展開】</p>&#13; <p>今後、グリチルリチン酸による植物細胞死の分子機構をより詳細に解析することで、植物における酸化ストレス応答や細胞死機構の解明が期待されます。また、今回確立したタバコBY-2細胞を用いた実験系は、細胞死を指標とした植物向け化合物スクリーニングの基盤技術としても応用が可能です。将来的には、植物における環境ストレス耐性の改良や新規農薬評価系の構築など、農学分野への展開も期待されます。</p>&#13; <p/>&#13; <p><strong>(論文情報)</strong></p>&#13; <p>論文名:Glycyrrhetinic acid triggers lipid peroxidation-related cell death in tobacco BY-2 cells</p>&#13; <p>著者:Kazuma Hirase, and Takumi Higaki*(責任著者)</p>&#13; <p>掲載誌:Biochemical and Biophysical Research Communications</p>&#13; <p>DOI:10.1016/j.bbrc.2025.152062</p>&#13; <p>URL:<a href="https://doi.org/10.1016/j.bbrc.2025.152062">https://doi.org/10.1016/j.bbrc.2025.152062</a></p>&#13; <p>詳細:<a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250523.pdf">プレスリリース</a></p>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>????  <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_02_ja_2.png/@@images/8032ba3d-a877-4a15-b6fd-60f50cbdf9de.png" title="sdg_icon_02_ja_2.png" width="133" alt="sdg_icon_02_ja_2.png" height="127" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3271<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/05/23 15:00:00 GMT+9 ページ 広西医科大学(中国)が熊本大学薬学部を表敬訪問_365体育官网 /whatsnew/seimei/yakugaku20250523 <![CDATA[<p> 5月20日(火)、広西医科大学(中国)薬学部の<span>Wen Qiulin</span>薬学部党委員会書記長ら6名が薬学部を表敬訪問し、香月薬学部長、杉本副薬学教育部長らと懇談しました。</p>&#13; <p> 今回の訪問は、広西医科大学と熊本大学との大学間交流協定に基づくものであり、会談では、冒頭に香月薬学部長が訪問団を歓迎し、双方の大学での最近の取組紹介や交流状況に関する意見交換が行われました。</p>&#13; <p> その後、天然薬物学分野の塚本教授が研究室を紹介し、<span>HARI</span>助教が薬用植物園、薬草ミュージアムの案内、産業イノベーションラボラトリーに作品群が展示されているフェルメールのリ?クリエイト作品の紹介を行いました。</p>&#13; <p> 今回の訪問を通し、今後の協力関係の強化に向け、理解を深める機会となりました。</p>&#13; <p><img src="/whatsnew/seimei/u7jlwu/@@images/1587e252-5fca-4056-902f-56ae3ce60cc2.png" title="&#x5E83;&#x897F;&#x533B;&#x79D1;&#x5927;&#x5B66;&#x304B;&#x3089;&#x306E;&#x8A18;&#x5FF5;&#x54C1;&#x8D08;&#x5448;.png" alt="&#x5E83;&#x897F;&#x533B;&#x79D1;&#x5927;&#x5B66;&#x304B;&#x3089;&#x306E;&#x8A18;&#x5FF5;&#x54C1;&#x8D08;&#x5448;.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p>左から香月薬学部長と<span>Wen Qiulin</span>薬学部党委員会書記</p>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/whatsnew/seimei/7rtsrg/@@images/49fd0992-b13e-4b76-81b5-f1cc8fe92f42.png" title="&#x96C6;&#x5408;&#x5199;&#x771F;.png" alt="&#x96C6;&#x5408;&#x5199;&#x771F;.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p>参加者の集合写真</p>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/whatsnew/seimei/qc94ee/@@images/b74a62b0-92cd-410f-bebb-fe8d74340b65.png" title="&#x4F1A;&#x8AC7;.png" alt="&#x4F1A;&#x8AC7;.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p>会談の様子</p>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/whatsnew/seimei/11gv51/@@images/e63888b7-a5b5-49f9-95ac-66457ad22696.png" title="&#x7814;&#x7A76;&#x5BA4;&#x898B;&#x5B66;.png" alt="&#x7814;&#x7A76;&#x5BA4;&#x898B;&#x5B66;.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p>天然薬物学分野研究室 見学の様子</p>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/whatsnew/seimei/vph2re/@@images/53500ec8-d580-4f23-9e98-c979e78ba6da.png" title="&#x690D;&#x7269;&#x5712;&#x898B;&#x5B66;.png" alt="&#x690D;&#x7269;&#x5712;&#x898B;&#x5B66;.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p>薬用植物園 見学の様子</p>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/whatsnew/seimei/xq21ke/@@images/e291af55-609e-4066-a4e3-98a039e4c53d.png" title="&#x30D5;&#x30A7;&#x30EB;&#x30E1;&#x30FC;&#x30EB;&#x898B;&#x5B66;.png" alt="&#x30D5;&#x30A7;&#x30EB;&#x30E1;&#x30FC;&#x30EB;&#x898B;&#x5B66;.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p>フェルメール作品 見学の様子</p>&#13; <p/>&#13; <p>熊本大学薬学部?大学院薬学教育部ホームページ(https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp)</p>&#13; <p/>&#13; <p> </p>&#13; <p/>]]> No publisher 研究 その他 2025/05/23 09:00:00 GMT+9 ページ 白血病ウイルスが“ひっそりと感染する“仕組みを解明―白血病ウイルスHTLV-1の潜伏機構と新規サイレンサー領域の発見―_365体育官网 /whatsnew/seimei/20250514 <![CDATA[<p>【ポイント】</p>&#13; <ul>&#13; <li>HTLV-1ゲノム内に、ウイルス自身の遺伝子発現を抑制する機能を持つ「サイレンサー領域」を同定。</li>&#13; <li>サイレンサー領域の除去によりウイルス活性が亢進し、潜伏感染が解除され免疫細胞から排除されやすくなることを実証。</li>&#13; <li>同サイレンサー領域を<span>HIV-1</span>に導入すると、<span>HIV-1</span>の潜伏性が増加することを実証。</li>&#13; <li>HTLV-1潜伏解除に基づく新たな治療戦略への展開が期待される。</li>&#13; </ul>&#13; <p/>&#13; <p>【概要説明】</p>&#13; <p> 熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センターの佐藤賢文教授、菅田謙治講師、<span>Akhinur Rahman</span>研究員、新村光輝学部生、小野昌弘客員教授(インペリアル?カレッジ?ロンドン准教授)らの研究チームは、<span>HTLV-1</span>(ヒト<span>T</span>細胞白血病ウイルス<span>1</span>型)<sup>※1</sup>が体内で<span>“</span>ひっそりとした感染<span>”</span>を成立させるための分子機構を解明しました。</p>&#13; <p> 日本は、<span>HTLV-1</span>の感染者が特に多い地域の一つであり、このウイルスによる感染症の制御は、我が国における重要かつ緊急の課題となっています。多くの感染者は一生涯にわたり無症状のまま経過しますが、一部の方では、「成人<span>T</span>細胞白血病(<span>ATL</span>)<sup><span>※2</span></sup>」と呼ばれる難治性の白血病を発症することが知られています。<span>HTLV-1</span>は一度体内に侵入すると、自然な免疫の力だけで排除することが非常に難しく、その主な理由のひとつが「潜伏感染」と呼ばれる状態です。これは、ウイルスが自らの存在を巧みに隠すことで、免疫システムからの監視を逃れ、長期間にわたり体内に潜み続ける感染のかたちを指します。今回、研究チームは、白血病ウイルス<span> HTLV-1</span>が体内で長期間ひそかに潜伏できる仕組みを世界で初めて明らかにしました。ウイルスの設計図(ゲノム)内に、自らの活動を抑え込む「サイレンサー(<span>Silencer</span>)領域<sup>※3</sup>」を発見し、これがウイルス潜伏のカギを握っていることを示しました。</p>&#13; <p> さらに、<span>HTLV-1</span>のサイレンサー領域を別のウイルス(<span>HIV-1</span>)に移植すると、<span>HIV-1</span>でも潜伏しやすくなることを実証。ウイルスの潜伏解除を狙った新しい治療法開発への道を切り拓く、大きな一歩となりました。</p>&#13; <p>? 本研究成果は令和7年5月13日、国際科学誌『<span>Nature Microbiology</span>』に掲載されました。本研究は、日本医療研究開発機構(<span>AMED</span>)疾患基礎研究課 新興?再興感染症研究基盤創生事業(多分野融合研究領域)「多分野融合研究による<span>HTLV-1</span>感染症のウイルス感染病態全容解明」(課題番号24wm0325068h0002:研究代表者 佐藤賢文)、エイズ実用化対策事業「革新的核酸解析技術による<span>HIV </span>潜伏感染機序の解明と克服のための研究」(課題番号<span>24fk0410052h0003</span>:研究代表者 佐藤賢文)からの支援を受けて、熊本大学病院、聖マリアンナ医科大学、国際医療研究センター病院、琉球大学、鹿児島大学、今村総合病院、関西医科大学、英国インペリアル大学との共同研究として行われました。</p>&#13; <p/>&#13; <p><strong>【内容説明】</strong></p>&#13; <p> ヒト<span>T</span>細胞白血病ウイルス<span>1</span>型(<span>HTLV-1</span>)は、ヒト免疫系の中核を担う<span>CD4</span>陽性<span>T</span>細胞に感染するレトロウイルスの一種です。本ウイルスは、感染細胞のゲノム<span>DNA</span>に自身の遺伝情報を組み込むという特徴を有しており、こうして宿主ゲノム内に組み込まれたウイルス遺伝子は「プロウイルス<sup>※4</sup>」と呼ばれます。このプロウイルス状態により、<span>HTLV-1</span>は宿主内に長期間潜伏し、持続感染を成立させることが可能となります。<span>HTLV-1</span>感染者の大多数は無症候のまま生涯を終えますが、約<span>2</span>~<span>5</span>%の感染者においては、数十年にわたる潜伏期を経て、成人<span>T</span>細胞白血病(<span>ATL</span>)と呼ばれる予後不良な血液悪性腫瘍を発症することが知られています。日本は世界有数の<span>HTLV-1</span>感染集積地域であり、現在も多くの感染者が<span>ATL</span>発症リスクを抱えながら日常生活を営んでいます。このような現状を踏まえ、<span>ATL</span>の発症メカニズムの解明および新規治療法の開発に向けた研究を国内において強力に推進することが、喫緊かつ重要な課題となっています。<span><br/> </span> 感染の初期段階において、<span>HTLV-1</span>はウイルスタンパクを活発に発現させ、新規感染を拡大させていきます。しかし、これらの感染細胞は、体内の免疫システム、特に<span>CD8</span>陽性<span>T</span>細胞によって速やかに認識?排除されてしまいます。そのため、潜伏感染時に体内に長期間残るのは、ウイルス遺伝子の発現を抑えた一部の感染細胞に限られます。この段階では、<span>HTLV-1</span>は必要最低限の遺伝子のみを発現させることで、免疫からの監視を回避しています。ウイルスが潜伏状態にある間も、感染した<span>T</span>細胞が分裂することで、ウイルスも細胞のゲノムに組み込まれた形で複製され、増えていくことが可能です。本研究では、<span>HTLV-1</span>が潜伏感染状態を保つために重要な働きをする「サイレンサー領域」をプロウイルスゲノム内に発見しました。</p>&#13; <p>? 研究チームは、九州の医療機関と協力し、<span>HTLV-1</span>に実際に感染している患者さんの血液サンプルを用いて、感染細胞内でのプロウイルスの状態を「<span>ATAC-Seq</span>(アタックシーク)解析<sup>※5</sup>」という手法で詳しく調べました。その結果、ウイルスゲノムの中に、「クロマチン<sup>※6</sup>が開いた領域」が存在することを突き止めました(図1上)。さらにその領域の機能を調べたところ、同領域がウイルス遺伝子の転写を抑える機能を持つサイレンサー領域であることが確認されました <span>(</span>図1下<span>)</span>。同サイレンサー領域には<span>RUNX</span>(ランクス)<span>(Runt-related transcription factor)</span><sup> ※7</sup>を中心に様々な転写因子が複合体を形成することで、ウイルス遺伝子のスイッチを調節していることも分かりました。<br/> 次に、同領域に変異を加えたウイルスを人為的に作成し、細胞に感染させる実験を行いました。その結果、変異<span>HTLV-1</span>はオリジナルウイルスに比べてウイルス粒子の産生性が増加しており、潜伏感染状態が阻止されたことが分かりました。</p>&#13; <p> <span>HTLV-1</span>と同じレトロウイルスであり、ヒトに対して後天性免疫不全症候群(エイズ)の原因となる<span>HIV-1</span>は、感染<span>CD4T</span>陽性細胞でウイルス産生が盛んに行われ、感染細胞に細胞死を誘導した結果、エイズを引き起こすことで知られます。<span>HIV-1</span>のプロウイルスには今回発見されたサイレンサーに相当する領域がなかったことから、2つのレトロウイルスの感染様式を決定する重要な役割を持つことが考えられました。そのことを証明するために、サイレンサー領域を導入した組換え<span>HIV-1</span>を作成し、感染実験を行ったところ、ウイルスの増殖性が低下し細胞死誘導が顕著に阻害されたことから、<span>HIV-1</span>が潜伏感染するウイルスに変化したことが示唆されました。</p>&#13; <p>本研究では、次世代シークエンサー<sup>※8</sup>やシングルセル解析<sup>※9</sup>といった先端的研究手法に加え、免疫学的解析手法を駆使して、実際の患者検体を高精度に解析する多分野融合型の研究アプローチを実施しました。その結果、ウイルス発見から40年以上にわたり不明であったHTLV-1の潜伏感染メカニズム解明に迫るを重要な知見を得ました。</p>&#13; <p>また、今回明らかにしたメカニズムは、ヒトレトロウイルスであるHTLV-1とHIV-1が、それぞれ潜伏感染および増殖感染という異なる感染経過をたどる主な要因であると考えられます。本知見は、ウイルスの進化過程および生存戦略を理解する上でも重要な新たな知見となります。</p>&#13; <p>? HTLV-1が長期間にわたって体内に潜伏できる仕組みを分子レベルで明らかにした本研究は、<span>HTLV-1</span>感染者における病気の進行や再発の仕組み解明に大きく貢献するものです。また、サイレンサーの機能を標的とすることで、これまで難しかった<span>HTLV-1</span>の治療開発へ向かう新たな道が開かれました。</p>&#13; <p/>&#13; <p><strong>【用語解説】</strong></p>&#13; <p><strong>※1:</strong><strong>HTLV-1</strong><strong>(ヒト<span>T</span>細胞白血病ウイルス<span>1</span>型)</strong></p>&#13; <p>????? 白血病の一種である「成人<span>T</span>細胞白血病(<span>ATL</span>)」や神経疾患「<span>HAM/TSP</span>」の原因となるウイルス。主に<span>CD4</span>陽性<span>T</span>細胞という免疫の中核を担う細胞に感染する。</p>&#13; <p><strong>※2:</strong><strong>成人<span>T</span>細胞白血病(<span>ATL</span>)</strong></p>&#13; <p>HTLV-1感染に起因する予後不良な白血病。非常に長い期間の慢性持続感染を経て、一部の感染者が発症する。臨床病型として、くすぶり型?慢性型?リンパ腫型?急性型の4つがある。</p>&#13; <p><strong>※3:</strong><strong>サイレンサー(<span>Silencer</span>)領域</strong></p>&#13; <p>? 特定の遺伝子の働きを抑える<span>DNA</span>領域。今回発見されたのは、ウイルスが自らの遺伝子を抑えるためのもの。</p>&#13; <p><strong>※4:</strong><strong>プロウイルス</strong></p>&#13; <p>????? ウイルスの遺伝子がヒトの細胞の<span>DNA</span>に組み込まれた状態。潜伏感染ではこの状態が続く。</p>&#13; <p>?</p>&#13; <p><strong>※5:</strong><strong>ATAC-Seq</strong><strong>(アタックシーク)</strong><strong>解析</strong></p>&#13; <p>????? 細胞内で“開いている<span>DNA</span>”領域を網羅的に調べる手法。その細胞でどの<span>DNA</span>領域が活発に働いているかを知るのに用いられる。</p>&#13; <p><strong>※6:</strong><strong>クロマチン</strong></p>&#13; <p>DNAがタンパク質と結びついた構造で、開いた状態では遺伝子の制御が行われやすい。</p>&#13; <p><strong>※7:</strong><strong>RUNX</strong><strong>(ランクス)<span>(Runt-related transcription factor)</span></strong></p>&#13; <p>? 血液細胞の分化や増殖に関わるヒトのタンパク質で、ウイルスがこれを利用することで“静かに<span>”</span>潜伏できるようになる。</p>&#13; <p><strong>※8:次世代シークエンサー</strong></p>&#13; <p>高速かつ大量のDNA/RNA配列情報を同時に読み取ることができる高性能なシーケンス技術およびその装置の総称。</p>&#13; <p><strong>※9:シングルセル解析</strong></p>&#13; <p>一つ一つの細胞を個別に取り出して解析を行い、細胞ごとの遺伝子発現やゲノム?エピゲノム情報、タンパク質発現などを明らかにする手法の総称。</p>&#13; <p><strong>?</strong></p>&#13; <p><strong>【論文情報】</strong></p>&#13; <p>論文名:<span>Intragenic viral silencer element regulates HTLV-1 latency via RUNX complex recruitment.</span></p>&#13; <p>著者:<span>Kenji Sugata, Akhinur Rahman, Koki Niimura, Kazuaki Monde, Takaharu Ueno, Samiul Alam Rajib, Mitsuyoshi Takatori, Wajihah Sakhor, Md Belal Hossain, Sharmin Nahar Sithi, M Ishrat Jahan, Kouki Matsuda, Mitsuharu Ueda, Yoshihisa Yamano, Terumasa Ikeda, Takamasa Ueno, Kiyoto Tsuchiya, Yuetsu Tanaka, Masahito Tokunaga, Kenji Maeda, Atae Utsunomiya, Kazu Okuma, Masahiro Ono, Yorifumi Satou.</span></p>&#13; <p>掲載誌:<span>Nature Microbiology</span></p>&#13; <p>DOI:<span>10.1038/s41564-025-02006-7</span></p>&#13; <p/>&#13; <p>URL:<span><a href="https://www.nature.com/articles/s41564-025-02006-7">https://www.nature.com/articles/s41564-025-02006-7</a></span></p>&#13; <div>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release250514.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">プレスリリース</a>(PDF1,471KB)</div>&#13; <div/>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_03_ja_2.png/@@images/9ffb7138-bfaf-4665-a923-62edf9423d6d.png" title="sdg_icon_03_ja_2.png" alt="sdg_icon_03_ja_2.png" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <p/>&#13; <address>&#13; <p><strong> お問い合わせ</strong></p>&#13; <p>熊本大学総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3269<br/>e-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp</p>&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/05/14 10:15:00 GMT+9 ページ 日本初、翼竜類の新属新種命名_365体育官网 /whatsnew/sizen/release20250513 <![CDATA[<p style="text-align: justify;"><span/>【発表の要点】</p>&#13; <ul>&#13; <li>翼竜の第6頸椎骨と判明。</li>&#13; <li>アズダルコ科の新属新種のものであることを解明し、<em><span>Nipponopterus mifunensis</span></em><span> (</span>ニッポノプテルス?ミフネンシス<span>)</span>と命名。国内産の体化石に基づいて初めて命名された翼竜。</li>&#13; <li>アズダルコ科として最古級の化石であり、白亜紀末のケツァルコアトルス等の大型翼竜と近縁であることが示された。</li>&#13; </ul>&#13; <p>【概要】 </p>&#13; <p>日本の翼竜の記録は比較的少なく、白亜紀層からいくつかの断片標本が知られているにすぎません。この度、中国石河子大学 周 炫宇 博士、御船町恐竜博物館 池上 直樹 博士、ブラジルサンパウロ大学動物学博物館 ベガス ロドリゴ 博士、熊本大学研究開発戦略本部 技術専門員 吉永 徹 氏、元 熊本大学技術部 技術専門職員 佐藤 宇紘 博士、熊本大学大学院先端科学研究部 教授 椋木 俊文 博士、熊本大学 理事?副学長 大谷 順 博士、北海道大学総合博物館 教授 小林 快次 博士の研究チームは、御船層群産の翼竜化石標本を再検討し、<span>CT</span>スキャナーで得られたデータ等に基づいて、その系統学的位置づけを検証しました。その結果、この標本は日本産の翼竜としては、初めて新種として命名されるべきものであることがわかりました。また、この新種の翼竜はモンゴルのチュロニアン期?コニアシアン期の地層から産出している未命名のアズダルコ科の翼竜と最も近縁であり、後期白亜紀後半に北米に生息していた大型翼竜ケツァルコアトルスと同じ系統に属する結果が示されました。</p>&#13; <p>【展開】</p>&#13; <p>国内の翼竜化石の産出記録は依然として少なく、また、断片的なものに限定されるため、更なる化石の探索と収集が必要です。御船層群は、翼竜化石が複数産出している国内では希有な地層であり、更なる化石の発見が期待されます。</p>&#13; <p>(論文情報)</p>&#13; <p>論文名:Reassessment of an azhdarchid pterosaur specimen from the Mifune Group, Upper Cretaceous of Japan(日本の上部白亜系御船層群から産出したアズダルコ科翼竜標本の再検討)<br/>著者:周 炫宇 ,池上 直樹 ,ベガス ロドリゴ ,吉永 徹 ,佐藤 宇紘 ,?椋木 俊文 ,大谷 順 ,?小林 快次?<br/>掲載誌:英文科学雑誌「<span>Cretaceous Research(</span>クリテイシャス?リサーチ<span>)</span>」<span>Vol. 167</span><br/>doi:10.1016/j.cretres.2024.106046<br/>URL:<a href="https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195667124002192">https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195667124002192</a></p>&#13; <p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250513.pdf">プレスリリース</a>(PDF1634KB)</p>&#13; <p/>&#13; <p>○本研究に関し、熊本大学の先生方がどのように研究に携わったのか、椋木教授より詳細をご紹介頂きました。</p>&#13; <table>&#13; <tbody>&#13; <tr style="height: 301.984px;">&#13; <td style="height: 301.984px;">&#13; <p>?本<span>CT</span>撮影は、熊本大学<span>X-Earth</span>センターが管理するマイクロ<span>X</span>線<span>CT</span>スキャナで撮影したものです。当時のセンター長であった大谷博士(現熊本大学理事?副学長)が、御船町恐竜博物館 池上博士からのマイクロ<span>X</span>線<span>CT</span>スキャナを翼竜の頸椎骨化石の内部構造の検査に適用できないかとの相談に応じ、実施しました。</p>&#13; <p>X線<span>CT</span>撮影では、<span>X</span>線ビームハードニングによるものや供試体(試料)設置方法に伴う、いわゆるアーティファクト(擬像)が生じることがあります。特に、化石のような岩石試料ではその影響が画像に現れやすい傾向があります。アーティファクトが生じると、画像の解釈を間違えることがあるため、供試体の設置、適切な撮影条件の決定、再構成画像の点検を慎重に行う必要があります。センター内で協議し、供試体の設置およびX線<span>CT</span>撮影は熊本大学研究開発戦略本部 技術専門員 吉永氏と元 熊本大学技術部 技術専門職員 佐藤氏が行い、得られたX線<span>CT</span>画像の確認を熊本大学大学院先端科学研究部 椋木が行いました。?</p>&#13; <p style="text-align: right;">熊本大学大学院先端科学研究部 教授 椋木 俊文</p>&#13; </td>&#13; </tr>&#13; </tbody>&#13; </table>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>????  <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_15_ja_2.png/@@images/69826231-83a5-403b-bc72-0ee8456ad4e2.png" title="sdg_icon_15_ja_2.png" width="133" alt="sdg_icon_15_ja_2.png" height="127" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3271<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/05/13 13:00:00 GMT+9 ページ FRONTEO と熊本大学、Drug Discovery AI Factory を活用した 新たながん治療法探索に関する共同研究を開始_365体育官网 /whatsnew/seimei/copy2_of_Kumamoto-FRONTEO-Project <![CDATA[<p>株式会社 FRONTEO(本社:東京都港区、代表取締役社長:守本 正宏、以下 FRONTEO)と 熊本大学大学院 生命科学研究部 消化器外科学講座(所在地:熊本市、以下 熊本大学)は、 2025 年 4 月 14 日付で、ライフサイエンス AI 分野(AI 創薬領域)の新たながん治療法探索に 関する共同研究を開始することをお知らせします。</p>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p>本研究では、FRONTEO が自社開発の特化型 AI「KIBIT(キビット)」を活用した AI 創薬支 援サービス「FRONTEO Drug Discovery AI Factory」(以下 DDAIF)*の独自の解析手法を活 用し、特定のがん種に対して治療効果のある既存薬を抽出し、熊本大学が細胞実験や動物実験、 臨床データの調査などを通じて仮説の検証を行います。</p>&#13; <p>熊本大学は、患者さんの心に寄り添い、「病む人の気持ち」を大切にする全人的医療を提供し ています。最新の情報に基づく、病状や進行度に応じた最良の治療法を提供するため、基礎から 臨床まで網羅した積極的な研究活動を行っています。今回の共同研究はその一環です。</p>&#13; <p> FRONTEO は、KIBIT の自然言語処理技術(日米特許取得済み)を用いた革新的な AI ソリュ ーションの研究開発と社会実装を通じて、医学?薬学領域の学術研究の発展と医療の質向上、 人々の健康に貢献してまいります。</p>&#13; <p>* DDAIF:AI と創薬に精通した FRONTEO の創薬エキスパートが、既知の文献情報から未知の関 連性を発見する FRONTEO の自社開発した特化型自然言語処理 AI「KIBIT(キビット)」と独自の解 析手法を駆使し、標的分子?適応症探索やその裏付けとなる仮説を提供する AI 創薬支援サービス URL: <a href="https://lifescience.fronteo.com/products/drug-discovery-ai-factory/">https://lifescience.fronteo.com/products/drug-discovery-ai-factory/</a></p>&#13; <p>■既知の文献情報から未知の関連性を発見する独自技術について FRONTEO は、DDAIF において、自社開発の特化型 AI「KIBIT」(URL: https://www.fronteo.com/kibit/)の、既知の文献情報から記載のない未知の関連性を発見す る独自技術を用いて、疾患関連性の高い未報告の標的分子を抽出し、その根拠となる疾患メカニ ズムなどの仮説とともに提示するソリューションを提供しています。近年、膨大な文献情報か ら、研究者が求める情報に効率的にアクセスするための技術や方法論に関する研究は進んでいる 一方、既知の文献情報からの新しい発見は、未だ研究者自身の発想力や偶然に依存しています。 当社の DDAIF における革新的アプローチは、こうした非連続的な発見を科学的?体系的に実現 することを可能とするものです。</p>&#13; <p>【参考】2024 年 9 月 9 日付プレスリリース:既知の文献情報から記載のない「未知の関連性を 体系的かつ効率的に発見する自然言語処理技術」を特許出願 文献検索の常識を覆し広く科学に 革新をもたらす新技術, <a href="https://www.fronteo.com/pr/20240909">https://www.fronteo.com/pr/20240909</a></p>&#13; <p>■FRONTEO について URL:https://www.fronteo.com/ FRONTEO は、自社開発の特化型 AI「KIBIT(キビット)」の提供を通じて、日夜、社会課題と 向き合う各分野の専門家の判断を支援し、イノベーションの起点を創造しています。当社独自の 自然言語処理技術(日米特許取得)は、汎用型 AI とは異なり、教師データの量およびコンピュ ーティングパワーに依存することなく、高速かつ高精度での解析を可能にします。加えて、解析 した情報をマップ化(構造を可視化)する特許技術を活用することで、「KIBIT」が専門家のイ ンサイトにダイレクトに働きかけることができ、近年、KIBIT の技術が創薬の仮説生成や標的探 索にも生かされています。</p>&#13; <p>KIBIT の独自技術およびアプローチを通じて、「記録に埋も れたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供 し、情報社会のフェアネスを実現する」理念の実現に向け て、ライフサイエンス AI、ビジネスインテリジェンス、経 済安全保障、リーガルテック AI の各分野で社会実装を推進 しています。</p>&#13; <p>2003 年 8 月創業、2007 年 6 月 26 日東証マザーズ(現:東証グロース)上場。日本、米国、 韓国、台湾で事業を展開。第一種医療機器製造販売業許可取得、管理医療機器販売業届出。資本 金 898,618 千円(2024 年 8 月 31 日時点)。</p>&#13; <p>※FRONTEO、KIBIT、Drug Discovery AI FactoryはFRONTEOの日本および欧州、米国、韓国 における商標または登録商標です。</p>&#13; <p/>]]> No publisher 研究 その他 2025/05/09 17:05:00 GMT+9 ページ TSMC慈善財団、熊本大学及び菊陽町の医療分野における連携協力に関する協定締結式を開催しました_365体育官网 /whatsnew/seimei/copy_of_Kumamoto-TSMC-Project <![CDATA[<p>令和7年4月17日、菊陽町役場において、<span>TSMC</span>慈善財団、熊本大学及び菊陽町の医療分野における連携協力に関する協定締結式を開催しました。</p>&#13; <p><img src="/whatsnew/seimei/DSC09924.JPG/@@images/32b1483c-162b-42ed-af87-52583a5148c2.jpeg" title="DSC09924.JPG" alt="DSC09924.JPG" class="image-inline"/></p>&#13; <p>このイベントは昨年7月に本学にて発足式が行われた「熊本<span>―TSMC</span>健康長寿プロジェクト」の一環として、菊陽町において地域の健康と長寿への取り組みを行っていくにあたり、<span>TSMC</span>慈善財団、熊本大学及び菊陽町の3者で強固な連携協力を結ぶことをを目的としています。</p>&#13; <p>イベントは、運動支援のデモンストレーションからスタートしました。スタジオで行われたこのデモンストレーションでは、<span>TSMC</span>慈善財団のソフィー会長も菊陽町の参加者に混じり、笑顔で運動を体験されました。続いて行われた記念撮影では、菊陽町マスコットキャラクターの「キャロッピー」が登場し、会場は温かい雰囲気に包まれました。</p>&#13; <p>締結式では、本事業の概要説明が本学の富澤理事?副学長、山縣健康長寿代謝制御センター長から行われ、その後の代表者挨拶では<span>TSMC</span>慈善財団のソフィー会長、熊本大学の小川学長、菊陽町の?本町長からそれぞれ挨拶を述べられました。引き続き3者による協定への署名が行われ、地域における医療連携の強化や住民の健康増進に向けて強固な連携体制を築くことを約束しました。</p>&#13; <p>イベント後には、報道対応が行われ、本学の富澤理事?副学長、山縣健康長寿代謝制御センター長が報道関係者の質問に応じました。今後のプロジェクト展開に関する具体的な説明が行われ、多くの報道機関から熱心な質問が飛び交いました。</p>&#13; <p>この連携協定を重要な一歩とし、<span>3</span>者のさらなる関係強化、プロジェクトの今後の進展が期待されます。</p>&#13; <p> ※当日の様子は、生命科学研究部のホームページ(<span><a href="http://www.medphas.kumamoto-u.ac.jp/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">http://www.medphas.kumamoto-u.ac.jp/</a></span>)でご覧頂けます。</p>&#13; <p/>&#13; <p> </p>&#13; <p/>]]> No publisher 研究 その他 2025/05/08 14:00:00 GMT+9 ページ 見落としていた細胞の変化に気づく、新しい観察のかたち ?深層学習による画像復元で細胞質分裂のはじまりを明らかに?_365体育官网 /whatsnew/sizen/20250508 <![CDATA[<p><strong>(ポイント)</strong></p>&#13; <ul>&#13; <li>植物細胞が分裂するときに形成される「細胞板」の初期形成部位に、アクチン繊維が局在することを明らかにしました。</li>&#13; <li>顕微鏡で捉えた映像の画質を深層学習を用いて復元することで、従来の観察では見逃されてきた細胞内の変化を高精度に観察できるようになりました。</li>&#13; <li>画像復元によって得られたアクチン繊維の新たな局在パターンの発見は、従来の観察手法や薬剤処理による検証実験でも確認され、深層学習による画像処理に依存しない実在の構造であることが裏付けられました。</li>&#13; </ul>&#13; <p style="text-align: justify;"><span/>【概要説明】 </p>&#13; <p>熊本大学大学院先端科学研究部の菊池涼夏特別研究員(当時)(現?山口大学大学院創成科学研究科?助教)、同大学理学部4年生の神鷹卓己大学生(当時)、同大学院先端科学研究部の檜垣匠教授らからなる研究グループは、深層学習による顕微鏡画像の画質復元技術を活用して、植物細胞の分裂における初期の細胞板形成過程を可視化し、アクチン繊維の新たな局在パターンを明らかにしました。</p>&#13; <p>細胞内の繊細な構造を観察するには、顕微鏡を使って鮮明な画像を撮影する必要がありますが、強い光を長時間当てることで細胞が傷んでしまう「光毒性」や「退色」という問題があります。そのため、できるだけ弱い光で撮影する必要がありますが、そのぶん画像が暗くなり、微細な構造が見えにくくなるというジレンマがありました。</p>&#13; <p>本研究では、この問題を解決するために、短時間の露光で撮影した画像を深層学習で明瞭に復元する技術を活用し、細胞分裂のごく初期段階でのアクチン繊維の挙動を高精度に捉えることに成功しました。その結果、アクチン繊維が細胞板の形成が始まる部位に集まる様子が確認されました。これは、アクチン繊維が細胞板の初期構築に関与していることを示唆する新たな証拠と考えられます。</p>&#13; <p>本研究成果は令和7年5月8日、科学雑誌「Plant Cell Reports」に掲載されました。本研究はJST CREST(JPMJCR2121)の支援を受けて実施されました。</p>&#13; <p>【今後の展開】</p>&#13; <p>本研究で活用した画像復元技術は、細胞へのダメージを抑えながら、これまで見えにくかった細胞内の変化を鮮明にとらえる新しい観察手法として注目されます。細胞分裂のごく初期に起こるアクチン繊維の動きを明確に捉えられたことにより、植物がどのようにして新しい細胞をつくるのか、その仕組みをより深く理解する手がかりが得られました。</p>&#13; <p>今後は、この技術を他の植物や細胞にも応用することで、細胞分裂だけでなく、成長や形づくりといったさまざまな生命現象の可視化が進むと期待されます。また、画像の“見えにくさ”を補い、研究者が細胞のふるまいに気づくためのサポートとして、将来的には幅広い生物学研究や薬剤評価などへの応用が期待されます。</p>&#13; <p><strong>(論文情報)</strong></p>&#13; <p>論文名:Distinct actin microfilament localization during early cell plate formation through deep learning-based image restoration</p>&#13; <p>著者:Suzuka Kikuchi, Takumi Kotaka, Yuga Hanaki, Minako Ueda, and Takumi Higaki*(責任著者)</p>&#13; <p>掲載誌:Plant Cell Reports</p>&#13; <p>DOI:10.1007/s00299-025-03498-7</p>&#13; <p>URL:<a href="https://link.springer.com/article/10.1007/s00299-025-03498-7">https://doi.org/10.1007/s00299-025-03498-7</a></p>&#13; <p>詳細:<a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release250508-3.pdf">プレスリリース</a></p>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>????  <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_02_ja_2.png/@@images/8032ba3d-a877-4a15-b6fd-60f50cbdf9de.png" title="sdg_icon_02_ja_2.png" width="133" alt="sdg_icon_02_ja_2.png" height="127" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3271<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/05/08 13:00:00 GMT+9 ページ 燃料電池触媒の非白金化へ前進 ~高耐久性コバルト触媒の開発に成功~_365体育官网 /whatsnew/sizen/20250430 <![CDATA[<p style="text-align: justify;"><span>【ポイント】</span></p>&#13; <ul>&#13; <li>14員環コバルト錯体を用いて燃料電池用非白金触媒を開発しました。</li>&#13; <li>開発したコバルト触媒は、燃料電池内の酸素還元反応、さらには水分解による水素生成反応においても、高い耐久性を発揮しました。</li>&#13; <li>原子?分子レベルのスケールでの詳細な構造解析を基に、高耐久?高活性非白金触媒の設計指針を示しました。</li>&#13; </ul>&#13; <p style="text-align: justify;">【概要説明】</p>&#13; <p>熊本大学大学院先端科学研究部の大山順也准教授、同大学院自然科学教育部のZhiqing Feng大学院生(博士後期課程<span>3</span>年)、東京科学大学物質理工学院の難波江裕太准教授、静岡大学の守谷誠准教授、旭化成らの共同研究グループは、燃料電池の酸素還元反応に対して耐久性の高い非白金触媒の開発に成功しました。</p>&#13; <p>燃料電池の中でもプロトン交換膜を用いるタイプの燃料電池が自動車などで実用化されていますが、その触媒に高価で希少な白金が用いられており、これが燃料電池の普及拡大の妨げとなっています。この問題を解決するために非白金触媒の開発が進められていますが、非白金触媒は一般的に耐久性が低いという問題を抱えており、実用化への大きな障壁となっています。</p>&#13; <p>本研究では、燃料電池の酸素還元反応に対して、14員環コバルト錯体を用いることによって、従来の鉄系触媒より耐久性が著しく高い触媒を開発することに成功しました。さらに、今回開発したコバルト触媒は水電解による水素発生反応に対しても高い耐久性を示しました。原子分解能電子顕微鏡観察、放射光分析、結晶構造解析、量子化学計算など様々な手法を用いた触媒解析によって、今回開発したコバルト触媒は活性点構造がコンパクトで且つ歪みが小さいために、反応中に活性点から金属が溶出しにくく、これが高い耐久性を示した要因であると明らかになりました。今後この知見を基にした触媒開発によって燃料電池触媒や水電解触媒の非白金化が進展すると期待されます。</p>&#13; <p>本研究はJST GteX (JPMJGX23H0)、JST SPRING (JPMJSP2127)、NEDO、科学研究費助成事業<span>(</span>23H01762)の支援を受けて実施したものです。本研究成果は令和7年4月25日に科学雑誌「Journal of the American Chemical Society」に掲載されました。</p>&#13; <p>?【今後の展開】</p>&#13; <p>本研究で耐久性の高いコバルト触媒を開発できただけでなく、耐久性向上の鍵となる構造について知見が得られました。これは次の触媒設計指針となる重要なものです。今後、この指針を基にして触媒構造の開発が進むことで、燃料電池の非白金化技術が進展していくと期待されます。</p>&#13; <p><br/>【論文情報】</p>&#13; <p>論文名:<span>Fourteen-Membered Macrocyclic Cobalt Complex Structure as a Potential Basis for Durable and Active Non-Platinum Group Metal Catalysts for Oxygen Reduction and Hydrogen Evolution Reactions</span></p>&#13; <p>著者:<span>Zhiqing Feng, Junya Ohyama, Soutaro Honda, Yasushi Iwata, Keisuke Awaya, Masato Machida, Masayuki Tsushida, Ryota Goto, Takeo Ichihara, Makoto Moriya, Yuta Nabae</span></p>&#13; <p>掲載誌:<span>Journal of the American Chemical Society</span></p>&#13; <p>doi:10.1021/jacs.5c01306</p>&#13; <p>URL:<span><a href="https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/jacs.5c01306">https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/jacs.5c01306</a></span></p>&#13; <p/>&#13; <p>【詳細】 <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release250430.pdf">プレスリリース</a>(PDF0.54KB)</p>&#13; <p><br/><br/></p>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>????  <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_07_ja_2.png/@@images/aaab6e72-31b0-4f6e-aeb0-281c879eca6e.png" title="sdg_icon_07_ja_2.png" width="133" alt="sdg_icon_07_ja_2.png" height="127" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学 総務部総務課広報戦略室<br/>電話:096-342-3271<br/>E-mail:sos-koho※jimu.kumamoto-u.ac.jp&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/04/30 13:00:00 GMT+9 ページ 世界で初めてX線CTで先史時代の網を再現~縄文時代の網の構造解明と縄文時代のSDGs?網製品の土器作りへの再利用を立証~_365体育官网 /whatsnew/zinbun/copy_of_20241211 <![CDATA[<p><研究の内容></p>&#13; <p> 熊本大学名誉教授の小畑弘己(おばた?ひろき)教授らは、これまでその構造がまったく不明であった縄文時代の網製品(漁網)を土器の中や表面に残る圧痕から復元することに成功しました。</p>&#13; <p>縄文時代の網製品は実物が愛媛県の船ヶ谷遺跡(縄文時代晩期)から発見されていましたが、網の構造についてはまったく不明な状態でした。そこで、小畑教授らは、北海道の日高地方や石狩低地から発見される「網状混和物」を含む土器、さらには九州地方を中心に発見される組織痕土器の網圧痕に注目し、<span>X</span>線<span>CT</span>やレプリカ法などの手法を用いて、それらの撚糸のサイズや撚り方向、結び方、網目サイズなどを復元し、網の構造を復元するとともに、土器製作において、使用済みの漁網もしくは網製品が再利用されている事実を明らかにしました。</p>&#13; <p>本研究は、これまで実物が少なく、立証できなかった縄文時代の網を、土器に残る痕跡「圧痕(スタンプ)」から復元するという着想と、それを可能にする<span>X</span>線<span>CT</span>技術から生まれたもので、世界でも初めての試みであり、高い学術的重要性と、同様の背景をもつ地域考古学の有機物製品の復元研究に寄与する可能性を秘めた研究と言えます。</p>&#13; <p>本成果は令和7年4月<span>18</span>日(英国同日)に英国の考古科学雑誌「<span>Journal of Archaeological Science</span>」でオープンアクセスで公開されました。また、本研究とその公開は文部科学省学術変革領域研究(<span>A</span>)「土器を掘る」および日本学術振興会科学研究費補助金(基盤<span>A</span>)の支援の下で行われました。</p>&#13; <p><strong/></p>&#13; <p><本論文の内容と意義></p>&#13; <p>網製品の種類を同定するには、網の詳細な構造(作り方)復元が手掛かりとなります。これらの問題を解決するため、小畑教授らは、新ひだか町博物館、浦河町立郷土博物館、様似郷土館、北海道埋蔵文化財センター、鹿児島県立埋蔵文化財センター、熊本大学X-Earth Centerの全面的な協力を得て、7遺跡24点の静内中野式土器と20遺跡80点の組織痕土器をX線CT撮影やレプリカの作製を行い、調査しました。</p>&#13; <p>その結果、<u>静内中野式土器の場合、撚糸は1段左撚り、結び方は「本目(ほんめ)結び」、組織痕土器の場合、撚糸は1段右撚り、結び方は「止め結び」であり、</u><u>両者とも従来予想されていた結び方ではありませんでした。</u>さらに<u>組織痕土器のうち、とくに6.5mmより小さい網目サイズのものには、漁網の作り方と異なる布織りの技術が用いられており、</u>これらは漁網ではなく、袋などの網製品であることが明らかになりました。これは、組織痕土器の網が、土器粘土と型との間に敷かれた離型剤としての役割を果たしており、できるだけ細かな目のものが求められたためです。逆に<u>静内中野式土器の場合は、網目サイズが大きいものばかりであり、</u>土器粘土紐の芯材として入れるためにできるだけ長い漁網(網目サイズが大きい)が好まれた結果と言えます。さらに、静内中野式土器の場合はサイズの異なる網が同じ土器の芯材として利用されていること、組織痕土器の場合は破れた網も使用されていることから、素材は不明(おそらく植物繊維)ですが、寿命が短く使えなくなった網製品や漁網を土器の素材や道具として再利用するという行為が行われていたと推定されます。これはまさに縄文時代のSDGsと言えます。よって、これらの圧痕は当時の両文化における漁網のすべてを表すものではないという結論に達しました。</p>&#13; <table style="width: 815px;">&#13; <tbody>&#13; <tr>&#13; <td style="width: 380.469px;"><img src="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/250428_gazou1.jpg/@@images/57c71941-a923-402a-83e6-78ab29763b53.jpeg" title="250428_gazou1.jpg" height="383" width="268" alt="250428_gazou1.jpg" class="image-inline"/></td>&#13; <td style="width: 429.531px;"><img src="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/250428_gazou2.jpg/@@images/a3b4a33b-48d0-4a4a-b835-f75ba92e2f9a.jpeg" title="250428_gazou2.jpg" height="389" width="270" alt="250428_gazou2.jpg" class="image-inline"/></td>&#13; </tr>&#13; <tr>&#13; <td style="width: 380.469px;">&#13; <p>図1 北海道静内中野式土器と調査対象遺跡(上段)および九州組織痕土器と調査対象遺跡(下段)</p>&#13; </td>&#13; <td style="width: 429.531px;">&#13; <p>図2 静内中野式土器と内部のX線断層?X線CT3D画像?透過画像</p>&#13; </td>&#13; </tr>&#13; <tr>&#13; <td style="width: 380.469px;"><img src="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/250428_gazou3.jpg/@@images/bf88abb1-6ed3-4fd9-bbdf-e46da49d3af5.jpeg" title="250428_gazou3.jpg" height="342" width="309" alt="250428_gazou3.jpg" class="image-inline"/></td>&#13; <td style="width: 429.531px;"><img src="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/250428_gazou4.jpg/@@images/4494f9c1-c8f7-4fee-b514-751b026947ad.jpeg" title="250428_gazou4.jpg" height="350" width="331" alt="250428_gazou4.jpg" class="image-inline"/></td>&#13; </tr>&#13; <tr>&#13; <td style="width: 380.469px;">&#13; <p>図3 静内中野式土器の結び目のX線CT3D画像と結び方の復元写真</p>&#13; <p>撚糸が主として横方向に緊張されるので、撚糸が動いて、ずれが生じているが、基本的に「本目結び」(<span>Reef knot</span>)およびその変形である「ひばり結び」(<span>Cow hitch knot</span>)(中央最下段模式図)で結ばれていることがわかる。</p>&#13; </td>&#13; <td style="width: 429.531px;">&#13; <p>図4 九州地方の組織痕土器の網圧痕の実測図</p>&#13; </td>&#13; </tr>&#13; </tbody>&#13; </table>&#13; <table>&#13; <tbody>&#13; <tr>&#13; <td><img src="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/250428_gazou6.jpg/@@images/2898d1c3-e08c-497a-80cd-50e05c76baf6.jpeg" title="250428_gazou6.jpg" height="486" width="394" alt="250428_gazou6.jpg" class="image-inline"/></td>&#13; </tr>&#13; </tbody>&#13; </table>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p>【詳細】<a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release20250428.pdf">プレスリリース</a>(PDF1.9MB)<br/><br/><br/></p>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/> <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_09_ja_2.png/@@images/c78e20a3-5bea-4d6c-80f1-d2db58bf76ca.png" title="sdg_icon_09_ja_2.png" alt="sdg_icon_09_ja_2.png" class="image-inline"/>????</p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address><strong>お問い合わせ</strong><br/>熊本大学大学院社会科学研究部<br/>担当:(名誉教授)小畑 弘己<br/>電話:096-342-2414</address>]]> No publisher 研究 2025/04/30 10:00:00 GMT+9 ページ 発生医学研究所の岡江寛明教授が「令和7年度文部科学大臣表彰 科学技術賞」を受賞_365体育官网 /whatsnew/seimei-sentankenkyu/20250410 <![CDATA[<p>この度、発生医学研究所の岡江寛明教授が、令和7年度文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞しました。<br/>この賞は、我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は開発を行った者に対し贈呈されるものです。<br/><span style="font-size: 11pt;"><span class="markzdtzzuhbq">岡江</span>教授は、ヒト胎盤の発生、機能、疾患病態等の研究を進める上で有用な、ヒト胎盤幹細胞(TS細胞)の樹立に世界で初めて成功したことが高く評価され、この度の受賞となりました。</span></p>&#13; <p><img src="/whatsnew/seimei-sentankenkyu/img02.jpg/@@images/6b1815e7-4de5-43ba-b335-1eb7fbd5d57e.jpeg" title="img02.jpg" alt="img02.jpg" class="image-inline"/></p>&#13; <p/>]]> No publisher 研究 2025/04/22 14:05:29.773771 GMT+9 ページ 革新的なディープラーニングモデルを開発 ENDNet:サブグラフマッチングのための余分ノード判定ネットワーク_365体育官网 /whatsnew/sizen/copy_of_20250217 <![CDATA[<p><strong>(ポイント)</strong></p>&#13; <ul>&#13; <li>サブグラフマッチングの精度を大幅に向上させる新たなディープラーニングモデルを開発</li>&#13; <li>データグラフ内の「余分ノード」を特定?中和する独自技術を実現</li>&#13; <li>オープンデータセットにおいて最大<span>99.1%</span>の高精度を達成</li>&#13; </ul>&#13; <p style="text-align: justify;"><span/>【概要説明】 </p>&#13; <p> 熊本大学大学院自然科学教育部 城谷昌季 博士前期課程学生、熊本大学大学院先端科学研究部 尼﨑太樹 教授、木山真人 同助教らの研究グループは、グラフデータから特定のパターンを高精度に検出する革新的な機械学習のディープラーニングモデル「<span>ENDNet</span>」を開発しました。</p>&#13; <p>【取組内容】</p>&#13; <p> 本研究では、大きなデータグラフ内から特定のクエリグラフ(パターン)を見つけ出す「サブグラフマッチング」の課題に取り組み、余分なノード(節点)を検出?中和する新たな手法を提案しています。従来のグラフニューラルネットワーク(<span>GNN</span>)では、データグラフ内の余分なノードや接続がマッチング精度を低下させる問題がありましたが、開発した「<span>ENDNet</span>(<span>Extra-NodeDecision Network</span>)」は、これらの余分ノードを特定し、その影響を除去することで高精度なマッチングを実現します。本研究成果は、「<span>IEEE ACCESS</span>」に<span>2025 </span>年<span>2 </span>月<span>18 </span>日に掲載されました。</p>&#13; <p>【背景】</p>&#13; <p> サブグラフマッチングは、グラフ理論における基本的な問題であり、創薬、情報検索、コンピュータビジョン、自然言語処理など多様な分野に応用されています。しかし、計算複雑性の高さから、効率的かつ高精度なアルゴリズムの開発が課題となっていました。従来の学習ベースのアプローチでは、データグラフに含まれる余分なノードや接続がマッチング精度を低下させるという問題がありました。特に、グラフニューラルネットワーク(<span>GNN</span>)は情報集約プロセスにおいて、クエリグラフに対応しない余分なノードの特徴も伝播させてしまうため、正確なマッチングが困難でした。</p>&#13; <p>【成果】</p>&#13; <p>ENDNet は次の<span>3 </span>つの革新的なメカニズムを組み合わせています:</p>&#13; <p>?1.余分ノード判定機構<span>: </span>非正規化マッチング行列を用いて余分ノードを特定し、その特徴値をゼロに設定して影響を排除</p>&#13; <ol start="2">&#13; <li>単方向伝播機構<span>: </span>クエリグラフとデータグラフ間で対応するノードの特徴を効果的に近づける</li>&#13; </ol>&#13; <ol start="3">&#13; <li>共有グラフ畳み込みネットワーク<span>: </span>シグモイド関数を活用した新たな畳み込み処理により特徴抽出を最適化</li>&#13; </ol>&#13; <p>?4 つのオープンデータセット(<span>COX2</span>、<span>PROTEINS_full</span>、<span>DD</span>、<span>SYNTHETIC</span>)での実験により、<span>ENDNet </span>は既存の最先端モデルである<span>AEDNet </span>を上回る性能を示しました。特に<span>COX2 </span>データセットでは、精度を<span>91.6%</span>から<span>99.1%</span>へと大幅に向上させました。また、アブレーション研究により、提案したすべてのメカニズムの有効性が確認されました。</p>&#13; <p>【今後の展開】</p>&#13; <p> 本研究で開発された<span>ENDNet </span>は、生体ネットワーク解析、分子構造の類似性検索、ソーシャルネットワーク分析など、様々な実用的なグラフマッチングタスクに応用できます。特に化学分子のような比較的小規模の実世界データに対して効果的であり、将来的には大規模グラフへの適用も期待されます。</p>&#13; <p>研究成果は<span>GitHub </span>で公開されており、他の研究者や開発者が活用できるようになっています。</p>&#13; <p><span><a href="https://github.com/ms1211/ENDNet">GitHub - ms1211/ENDNet</a></span></p>&#13; <p>?(論文タイトル)ENDNet: Extra-Node Decision Network for Subgraph Matching</p>&#13; <p>(論文著者)城谷昌季、尼﨑太樹、木山真人</p>&#13; <p>(掲載雑誌)IEEE ACCESS 2025 年<span>2 </span>月掲載</p>&#13; <p><span><a href="https://ieeexplore.ieee.org/document/10891771">ENDNet: Extra-Node Decision Network for Subgraph Matching | IEEE Journals &amp; Magazine | IEEE Xplore</a></span></p>&#13; <p>詳細:<a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release250414.pdf">プレスリリース</a></p>&#13; <p/>&#13; <p><img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/icon.png/@@images/39207fe2-5580-4840-9714-48e1fc6172fc.png" title="icon.png" alt="icon.png" class="image-inline"/>????  <img src="/daigakujouhou/katudou/SDGs/file/i/sdg_icon_09_ja_2.png/@@images/18ac5cdf-a729-4a68-b05f-2defc6e8fbe3.png" title="sdg_icon_09_ja_2.png" width="133" alt="sdg_icon_09_ja_2.png" height="127" class="image-inline"/></p>&#13; <p><a href="/daigakujouhou/katudou/SDGs/index"><熊本大学SDGs宣言></a></p>&#13; <address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学大学院先端科学研究部<br/>担当:助教  木 山 真 人<br/><span>電話:096-342-3847</span><br/>&#13; <p>E-mail:masato<span>※</span>cs.kumamoto-u.ac.jp</p>&#13; <p>(※を@に置き換えてください)</p>&#13; <p/>&#13; </address>]]> No publisher 研究 2025/04/14 21:00:00 GMT+9 ページ 国際先導研究「腎臓を創る」を発足 ~移植可能な次世代腎臓オルガノイドを目指した グローバルネットワーク~_365体育官网 /whatsnew/seimei-sentankenkyu/copy_of_20150205 <![CDATA[<p/>&#13; <table>&#13; <tbody>&#13; <tr>&#13; <td>&#13; <p><strong>(ポイント)</strong></p>&#13; <ul>&#13; <li>成熟して機能を持つ移植可能なヒト腎臓オルガノイド<sup>*1</sup>を作ることを目指し、熊本大学を中心とする国内4施設、海外5施設が6年間の国際共同研究を行う。</li>&#13; <li>若手研究者を積極的に海外に派遣して、研究を進めるとともに、国際的研究人材を育成する。</li>&#13; <li>これによって、多くの若手研究人材を輩出するとともに、移植可能なヒト腎臓オルガノイド作製に大きく前進する。</li>&#13; </ul>&#13; </td>&#13; </tr>&#13; </tbody>&#13; </table>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p>腎臓は再生できない臓器です。世界人口の約<span>10%</span>が慢性の腎臓病を患っているとされており、<span>200</span>万人以上が人工透析や腎移植を受けています。その一方で、根治的治療法は存在せず腎移植のドナーも圧倒的に不足しています。わが国でも臓器移植希望者の<span>88</span>%は腎臓が対象です(約<span>14,500</span>人)。しかしながらドナー数が少なく、腎臓移植まで平均して<span>14</span>年<span>9</span>ヶ月の待機期間となっているのが現状です。</p>&#13; <p>複雑な構造と機能を有する腎臓を人工的に作るということは夢物語とされていましたが、<span>2014</span>年に我々は「腎臓オルガノイド」と呼ばれるミニチュアの腎臓を試験管の中で作り出すことに成功しました。この発見が転機となり、この<span>10</span>年で腎臓オルガノイドは遺伝性腎疾患の病気の仕組みを解明する研究などに用いられつつあります。</p>&#13; <p>本計画は将来の移植医療のために、この技術を更に発展させ、高次な構造<sup>*2</sup>と機能?成熟度を持つ次世代腎臓オルガノイドを作製することを目的とします。ヒト発生学、微細な装置を使った技術、新規全胚培養システム、さらには動物の体内で臓器を作る技術など、多様かつ最先端の手法を結集することで、より成熟し機能を有する移植可能な腎臓オルガノイドを目指します。そのために国内、海外の研究者が強固な国際研究ネットワークを形成して共同研究を行うとともに、その中で若手研究者を流動させることによって次世代のリーダーを育成します。</p>&#13; <p><br/> (URL:<span><a href="https://creating-kidney.jp">https://creating-kidney.jp</a></span>)</p>&#13; <p>本研究は日本学術振興会 科学研究費 国際共同研究加速基金(国際先導研究)の採択を受けて、6年強(<span>2024</span>年<span>12</span>月から<span>2031</span>年<span>3</span>月まで)の期間で実施されるものです。<span>2024</span>年度の採択は全国で<span>5</span>件、生命科学系は<span>2</span>件のみであり、熊本大学として初めての採択になります。生命科学系としては九州初でもあります。</p>&#13; <p><span><a href="https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/35_kokusai/05_sendou/ichiran.html">https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/35_kokusai/05_sendou/ichiran.html</a></span></p>&#13; <p>国際共同研究加速基金(国際先導研究)は、優れた国際共同研究に対して基金による柔軟性の高い大規模?長期間の支援を実施することによる、独創的、先駆的な研究の格段の発展を目的とするものです。 我が国の優秀な研究者が率いる研究グループが、国際的なネットワークの中で中核的な役割を担うことにより、国際的に高い学術的価値のある研究成果の創出のみならず、当該学術分野全体の更なる国際化、研究水準の高度化を目指します。 さらに、ポストドクターや大学院生が参画することにより、将来、国際的な研究コミュニティの中核を担う研究者の育成にも資するとともに、国際共同研究の基盤の中長期的な維持?発展につながることを期待するものです。<br/> <br/> 詳細: <a href="/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release250410-2.pdf">プレスリリース本文 </a> (PDF 293KB)</p>&#13; <address><strong> お問い合わせ </strong> <br/>熊本大学発生医学研究所 腎臓発生分野<br/> 担当:教授 西中村 隆一(にしなかむら りゅういち)<br/> 電話/Fax: <br/>096-373-6615<br/> e-mail:ryuichi<span>※</span>kumamoto-u.ac.jp<br/> (迷惑メール対策のため@を※に置き換えております)</address>&#13; <p/>]]> No publisher 研究 2025/04/14 20:05:00 GMT+9 ページ キャンパス内の廃木材を再活用した「くまだいの木」SDGsグッズの販売について_365体育官网 /whatsnew/koho/2025/20250410 <![CDATA[<p> 熊本大学では、キャンパス内の廃木材を有効活用し、下記のとおりコースターやペン立てといった実用的な木製グッズ「くまだいの木」シリーズとして商品化、販売を開始いたしました。本取り組みは、教育学部美術科 松永拓己教授が中心となり、美術科の学生と協働して進めたもので、持続可能な開発目標(<span>SDGs</span>)を意識した活動であり、大学としての環境教育や地域社会への貢献をさらに深めるものです。</p>&#13; <p> 本学では、倒木や整枝、剪定により、年間を通して一定量の木材廃棄が生じています。これらを資源として再活用することにより、廃棄物の削減?循環型資源の活用?環境教育の推進という複数の課題に対し、同時にアプローチしています。 </p>&#13; <p>長年、本学で歴史を刻んできた木材が、新たな形となって皆様の手に渡ることで、日常の中で<span>SDGs</span>に基づく環境への配慮を意識していただける機会になればと思っております。</p>&#13; <p> 「くまだいの木」グッズは、大学内の熊本大学生活協同組合売店で令和7年4月4日(金)から販売を開始しているほか、来月以降、熊本空港に隣接する「くまもと<span>SDGs</span>ミライパーク」での販売を予定しております。本学にゆかりのある人物や歴史的建造物等のイラスト等を、レーザー加工によって丁寧に焼き付けております。木の温もりを感じられる商品に仕上がっていますので、是非手に取っていただき、本学の想いとともに、未来への一歩を感じていただければ幸いです。                      ? ? ? ? ? ?</p>&#13; <p style="text-align: center;">記</p>&#13; <p><img src="/whatsnew/koho/koho_file/2025/dodn1e/@@images/5141a1b1-f5e8-44d9-b29c-4b347d41beca.jpeg" style="display: block; margin-left: auto; margin-right: auto;" title="&#x677E;&#x6C38;&#x5148;&#x751F;&#x30B0;&#x30C3;&#x30BA;&#x2460;.JPG" height="469" width="707" alt="&#x677E;&#x6C38;&#x5148;&#x751F;&#x30B0;&#x30C3;&#x30BA;&#x2460;.JPG" class="image-inline"/></p>&#13; <p>         (コースター、マグネット、キーホルダー:300円~400円、ペン立て:700円で販売)</p>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p style="text-align: left;">          <img src="/whatsnew/koho/koho_file/2025/wsypin/@@images/677df504-00d1-4966-947a-a58620a007fc.jpeg" style="display: block; margin-left: auto; margin-right: auto;" title="&#x677E;&#x6C38;&#x5148;&#x751F;&#x30B0;&#x30C3;&#x30BA;&#x2461;.JPG" height="569" width="434" alt="&#x677E;&#x6C38;&#x5148;&#x751F;&#x30B0;&#x30C3;&#x30BA;&#x2461;.JPG" class="image-inline"/>? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? <松永教授より一言><br/>熊本大学には、ケヤキ、カエデ、クス、カシ、サクラ???等々、長い年月、手入れされ続けた樹木が息づいています。<br/>その整枝材等からアートグッズ製品を作りました。熊本大学の大地の息吹きと共にご愛好下さい。  </p>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <table>&#13; <tbody>&#13; <tr>&#13; <td><img src="/whatsnew/koho/koho_file/2025/vrf8er/@@images/cc983d94-4988-40b1-9012-8322d2574bf3.jpeg" title="&#x677E;&#x6C38;&#x5148;&#x751F;&#x30B0;&#x30C3;&#x30BA;&#x2462;.JPG" height="296" width="397" alt="&#x677E;&#x6C38;&#x5148;&#x751F;&#x30B0;&#x30C3;&#x30BA;&#x2462;.JPG" class="image-inline"/></td>&#13; <td><img src="/whatsnew/koho/koho_file/2025/2uzvw3/@@images/d8a7a5ed-7bef-4575-b6fe-0f8ef1a00401.jpeg" title="&#x677E;&#x6C38;&#x5148;&#x751F;&#x30B0;&#x30C3;&#x30BA;&#x2463;.JPG" height="290" width="391" alt="&#x677E;&#x6C38;&#x5148;&#x751F;&#x30B0;&#x30C3;&#x30BA;&#x2463;.JPG" class="image-inline"/></td>&#13; </tr>&#13; <tr>&#13; <td>? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? (廃木材)</td>&#13; <td>? ? ? ? ? ? ? ? ? (廃木材をもとに製作)</td>&#13; </tr>&#13; </tbody>&#13; </table>&#13; <p><span>              ? ? ? ? ? ? ?  </span></p>&#13; <p><span>? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ??</span></p>&#13; <p><span>?</span></p>&#13; <p><span/><span>? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ?</span></p>&#13; <p><span/></p>&#13; <p>&#13; &#13; </p>&#13; <p>&#13; &#13; </p>]]> No publisher 学生 研究 その他 2025/04/10 09:10:00 GMT+9 ページ 熊本大学広報ウェブサイト「Kumadai Now(熊大なう。)」 リニューアルについて_365体育官网 /whatsnew/koho/2025/20250402 <![CDATA[<p>熊本大学では、<span>Web</span>マガジンをはじめ、<span>YouTube</span>チャンネル、広報誌、学外での企画展等、さまざまな形で本学の情報を発信しております。このたび、これらの情報を一元的に発信する広報情報集約サイトとして、これまで<span>Web</span>マガジンとして運用していた「<span>Kumadai Now</span>(熊大なう。)」のウェブサイトをリニューアルいたしました。</p>&#13; <p>本サイトは、図1のように、ユーザーが調べたいキーワードを入力するだけで、4つのコンテンツ内の情報を横断的に検索し、関連する記事等を表示することができる検索機能を特徴としており、本学のことについて知りたい方が、迅速かつ容易に本学の情報を取得できることを目的としております。</p>&#13; <p>今回のリニューアルを通じて、本学の最新情報や魅力をより多くの方々にお届けできるよう努めてまいります。ぜひ新しいウェブサイトをご覧いただき、ご活用ください。</p>&#13; <p/>&#13; <p>なお、これまで「<span>Kumadai Now</span>(熊大なう。)」という名称で運用しておりました<span>Web</span>マガジンについては、「熊大タイムズ」という名称に変え、新たな「<span>Kumadai Now</span>(熊大なう。)」ウェブサイトの中で、今後も引き続き運用してまいります。</p>&#13; <p>                       ? ? ? ? ? ?</p>&#13; <p style="text-align: center;">記</p>&#13; <p><img src="/whatsnew/koho/koho_file/2025/KumadaiNow.jpg/@@images/cd472323-7361-4b4b-8910-3d8c66d49efe.png" style="display: block; margin-left: auto; margin-right: auto;" title="KumadaiNow.jpg" height="279" width="706" alt="KumadaiNow.jpg" class="image-inline"/></p>&#13; <p>           【<span>URL</span>】 <span><a href="https://external.jimu.kumamoto-u.ac.jp/kumadainow/">https://external.jimu.kumamoto-u.ac.jp/kumadainow/</a></span></p>&#13; <p><span/></p>&#13; <p><span>                     ? ? ? ? ? ? ?  </span></p>&#13; <p><span>? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ?(図1)</span></p>&#13; <p><span><img src="/whatsnew/koho/koho_file/2025/p29teq/@@images/31cc2a13-fd02-4fa2-9f97-bea93c592575.jpeg" style="display: block; margin-left: auto; margin-right: auto;" title="KumadaiNow&#x56F3;1-1.jpg" alt="KumadaiNow&#x56F3;1-1.jpg" class="image-inline"/></span></p>&#13; <p><span/><span>? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ?<img src="/whatsnew/koho/koho_file/2025/e3k4rw/@@images/98b877a4-9ce6-46ab-982a-882213aca6a8.jpeg" style="display: block; margin-left: auto; margin-right: auto;" title="KumadaiNow&#x56F3;1-2.jpg" height="508" width="654" alt="KumadaiNow&#x56F3;1-2.jpg" class="image-inline"/></span></p>&#13; <p><span/></p>&#13; <p/>&#13; <p><span/><strong/></p>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p> </p>&#13; <p><strong>?</strong></p>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <p/>&#13; <div class="e-responsive-table"/>&#13; <p>&#13; &#13; </p>&#13; <div class="e-responsive-table"/>&#13; <p>&#13; &#13; </p>]]> No publisher 学生 研究 その他 2025/04/02 10:40:00 GMT+9 ページ